- 著者
-
川西 武夫
- 出版者
- 京都府立医科大学
- 雑誌
- 京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, no.1, pp.289-302, 1932
かんふるヲ注射セシ犬ガ尿中ニ排泄スルかんふおぐるくろん酸量ニ關シ,サキニ宮崎氏ガ旋光法ヲ以テ測定セシモノト,千葉氏ガHandel氏ふるふろーる蒸溜法ニヨリテ定量セシモノトノ間ニハソノ成績ニ著シキ相異アリ.余ハコノ相違ガ實驗方法ノ異ナルニヨルベキヲ想倒シ,先ヅ健康ナル人間及ビ家兎ノ尿ニツキ,又Neuberg u. Lachmannニ從ヒめんとーるヲ以テ中毒セシ家兎ノ尿ヨリ分離シタル純粹ノめんとーるぐるくろん酸ニツキ,更ラニ又めんとーる又ハかんふるヲ與ヘ當該抱合ぐるくろん酸ヲ含ム家兎ノ尿ニツキ夫々旋光法,還元法,並ビニHandel氏ふるふろーる蒸溜法ヲ應用シソノ成績ヲ比較研究シテ次ノ成績ヲ得タリ.1)健康ナル人間又ハ家兎ノ尿ハ光學的否活動性ナルカ又ハヨハキ左旋性ヲ示ス(-0.01-0.022°).該尿ハ僅カニ還元能力ヲ有シ(葡萄糖ニ換算シテ0.005-0.042%),且多クノ場合鹽酸ヲ以テ加水分解ヲ行ヘル後ニ還元物質ノ増加ヲ示ス.旋行法及ビ還元法ハ共ニ尿中ニ存スル抱合ぐるくろん酸ヲ他ノモノト區別シテ定量シ能ハザルモ,Handel氏法ニヨリテハ人間ノ尿100ccm.中5-10mg.家兎ノ尿100ccm.中4-15mg.ノぐるくろん酸らくとん量ヲ正確ニ定量シ得タリ.2)純粹ニ分離セシめんとーるぐうん酸(溶解點110°)ノ種々ノ濃度ノ溶液ヲ作リテ檢スルニ旋光法ニヨリ0.02-1.0%濃度ニ於テ正シキ含有量ヲ,還元法ニヨリ0.2-1.0%濃度ニ於テ正シキ含有量ノ70-80%ヲ測定シ得タリ.然ルニHandel氏法ニヨリテハ0.1-1.0%濃度ニアリテ正シキ含有量ノ僅カニ4-22%ヲ定量シ得タルノミ.而シテコノ際應用セヲル丶鉛錯及ビあんもにあくニヨルめんとーるぐるくろん酸ノ沈澱ハ60-90%ニ於テ可能ナルガ故ニソノ成績ガ如何ニシテ旋光法ノ成績ヨリ遙カニ少ナキヤノ原因トシテ獨リ沈澱ノ不完全ナルニ歸スヲ得ザルナリ.3)めんとーるぐうん酸ヲ含ム家兎ノ尿ハ旋光法,還元法ニヨル成績ガ互ヒニ略々相近キヲミタリ.シカモ同時ニ含有セラル丶右旋葡萄糖ノ比較的多量ナルニ際シ却ツテ還元法ニヨル成績ガ旋光法ニヨルモノヨリ大ナリ.然ルニHandel氏法ニヨリテハ旋光法又ハ還元法ニヨリテ得タル成績ノ僅カニ17-25%ヲ得タルノミ.而シテ鉛錯及ビあんもにあくニヨルめんとーるぐるくろん酸ノ沈澱ハ67-97%ナリ.4)かんふおぐるくろん酸ヲ含ム家兎ノ尿ハ還元法ニヨリ旋光法ニヨリテ得タル成績ノ35-48%ヲ得タリ.コノ兩者成績ノ甚ダシキ相異ニ關シテハ原因不明ナリ.Handel氏法ニヨリテハ僅カニ旋光法ノ4.7-9.0%還元法ノ12-17%ヲ測定シ得タルノミ.而シテ鉛錯及ビあんもにあくニヨルかんふおぐるくろん酸ノ沈澱ハ35-78%ニシテ之ヲめんとーるぐるくちん酸ニ於ケルモノト比シ一層不完全ナリ.