著者
西川 善久
出版者
甲南大学
雑誌
甲南大学紀要. 理工学編 (ISSN:13480383)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.1-38, 2008-07

量子もつれの状態は量子力学の不完全さを指摘するためにEinsteinによって提唱された。しかし現在、その存在は実験で検証され、量子情報理論では量子テレポーテーション等の資源として扱われている。2000年頃になって、spinによって定義された粒子対状態がなす量子もつれはWigner回転とよばれる相対論的効果のため非自明な変換を受けることが知られるようになった。本稿では量子もつれがなす相関、及び、Wigner回転がその相関に与える影響を解説した後、従来おこなわれてきた1つの粒子対状態をもちいたモデルに対して拡張をおこなう。その拡張したモデルでは量子もつれの状態を複数の粒子対状態による重ね合わせとして準備する。そして相対論的効果を大域的にみるためにvon NeumannのエントロピーとShannonのエントロピーを計算し図示する。その結果について粒子の区別可能性を交えて議論をおこなう。

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