- 著者
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山本 道也
- 出版者
- 流通経済大学
- 雑誌
- 流通經濟大學論集 (ISSN:03850854)
- 巻号頁・発行日
- vol.29, no.4, pp.1-20, 1995-03
1986年の竜ヶ崎市郊外の2.5km-帯状センサスにより,チョウ成虫の生息環境の調査が行われた。3〜11月にかけて1旬につき2回の調査で7科44種3,091個体が目撃され,距離補正の上(補正総個体数=2,048),群集構造,種数,個体数,多様性,優占種についての生息環境による違いが報告された。以下はその結果である。1.チョウ44種の13の調査小区への補正個体数分布マトリックスより,群分析と主成分分析を併用して,三つの生息環境(オープンランド,モザイク,森林)と二つの群集(オープンランド群集,森林群集)を区別した。2.耕作地とその周辺域には,モンシロチョウ>ヤマトシジミ>キタテハ>イチモンジセセリが優占する計18種からなるオープンランド群集が成立していた。3.森林には,オオチャバネセセリ>ヒカゲチョウ>キチョウ>ゴイシシジミ>アゲハ>>ヒメウラナミジャノメ>サトキマダラヒカゲ>コチャバネセセリ>ルリシジミ>アオスジアゲハ>コミスジを優占種とする計26種を含む森林群集が成立していた。4.これら二つの群集の移行帯的性格をもつたモザイクが第三の環境として区別され,オープンランド群集と森林群集の混合体となつていた。5.種数については,オープンランド群集はモザイク>オープンランド>森林,森林群集は森林>モザイク>オープンランドの順となり,個体数については,オープンランド群集はモザイク>オープンランド>森林,森林群集は森林>モザイク>オープンランドの順となり,多様性については,両群集ともにモザイク>森林>オープンランドの順となった。6.1986年には,調査地にある森林の一部が造成地に変わったため,そこではチョウは生息不能となったが,全体としては目撃種数,目撃個体数ともに増加し,特に,造成地に隣接する森林では特定の種の集中化が見られた。全体として,1985年の環境変化から回復傾向にあるが,以前の状態とは大きな違いがある。