著者
山本 道也
出版者
流通経済大学
雑誌
流通経済大学論集 (ISSN:03850854)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.p46-54, 1986-12

札幌周辺域で,キレハイヌガラシ(Rorippa sylvestris)を共通の食草とする同所性モンシロチョウ属の2種,モンシロチョウとエゾスジグロシロチョウとは,1日当りの1雌産卵数を決定する要因が異なっている。モンシロチョウは,気温や日射が極端に悪い条件でない限り,産卵数は日齢によって決められていて,気象条件の影響を受けない。このため,このチョウは,生理的限界に近い多数の卵を産むことができる。一方,エゾスジグロシロチョウの産卵は,気象条件,特に気温と日射時間によって大きく影響される。このため,1雌が一生の間に産み出す卵数は,その生理的限界をかなり下回ることが予想される。両種ともに,開けた,環境的に不安定な場所を生息地としているが、産卵数に関しては,モンシロチョウの方が,安定多数を保つ機構を備えていることを示唆している。

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