著者
都築 一治
出版者
流通経済大学
雑誌
流通経済大学社会学部論叢 (ISSN:0917222X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.91-110, 2008-10

この論文では,人びとの間にコミュニケーションが成り立つことの意味を,やや過剰に形式的に扱おうとすることを目的としている。最初に提示される架空の書評は,書評対象となる半ば実在しているけれど,書評自体は公にはどこにも示されたことのないという意味で「架空」のものである。まず,この書評を通じて,全体の基底をなす考えを示す。主要な論点は,文化的多元主義の克服に向けた試みである。共同体と,コミュニケーション対象との対応関係を概念化し,複数主体の集合としての行為者のかかわりを通して,諸共同体が緩やかな薄い共同体を形成しうることを示し,相対主義的を退けようとするのが最終的な目標である。

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