著者
荒木 良子
出版者
福井大学
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
no.32, pp.203-215, 2008-01-31

全盲の一誠くん※が小学校に就学した頃,点字の学習をするのはまだ少し時間が必要だった。文字がなくてもたくさんのことを一誠くんは学んできた。小学校での豊かな生活が積み重なって6年生になった時に,彼は点字の勉強を始めた。その時々を大切にして,生活が膨らんできたときに文字を学ぶようになる時が訪れることを一誠くんに教えて貰った。大切にしてきたことはなんだったのか。一誠くんは全身を使って周りの世界を調べてきた。その時間は彼の生活のすべての土台である。朝読書で友だちに絵本を読んで貰ってきた。担任とともに友だちや先生に手紙を書いてきた。思い出に残る出来事を作文に仕立ててきた。位置や方向について教材を工夫して机上での学習を積み上げてきた。盲学校の教育相談担当者はクッキーを作りを通して点字の環境を取り入れてきた。これらの学習が展開され,「点字に向かう」時が満ちた。※ 保護者の了解により実名で記す。これは保護者のご希望でもある。

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こんな論文どうですか? 共感的な関係を土台に生まれる文字 〜全盲の一誠くんが文字を使うということ〜(荒木 良子),2008 https://t.co/X6O8ssbIWq
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