著者
金 玉泰
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A, 教育研究 (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.29-39, 2008-03

日本では明治期(1868〜1915),韓国では旧韓末期(1876〜1910)に,近代的学校体育が始まったが,特に軍事主義的な体操が勃興したのは,当時の民族主義的な時代状況によるのであった.かつて,明治維新を通して近代化を成した日本は,学校体育に兵式体操を導入し,更に振興させるようになった.初期には,軍事的なことと関係がなかったが,富国強兵の国家主義的な思想とともに,体育の軍国主義化への道を歩くようになり,兵式体操は軍事主義的な性格に変わるようになる.相対的に,近代化の遅れた韓国は,日本を通して兵式体操を導入し,発展させた.当時の国家的な状況によって,強靭な体力の大切さを認識し,特に,私学を中心に兵式体操をより強化しようとしたが,日本の保護下に入るようになった状況では,不如意になり,活発した兵式体操も,続けることができなかった.つまり,純粋な学校体育が政治的な目的に利用される結果になったのである.

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