- 著者
-
鈴木 美枝
- 出版者
- 釧路短期大学
- 雑誌
- 釧路短期大学紀要 (ISSN:03858456)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, pp.13-25, 1994-12
北海道のフィギュアスケート選手について,栄養摂取状況・身体状況・生活リズム調査,食生活およびトレーニング等に関するアンケート調査を行った。これらの調査から,以下に示すような結果を得た。1)栄養摂取状況調査におけるトレーニング期の食事は個人差があるが,全体の平均値ではエネルギー・カルシウム・鉄が不足傾向にあった。栄養素等比率では脂肪エネルギー比・動物性脂肪比が高く,穀類エネルギー比・緑黄色野菜比がかなり低かった。また,各食のエネルギー比は男子について朝食比が低く夕食比が高かった。食品品目数は目標の30品目に達した者が1/3もいなかった。2)身体状況は,男女ともに身長・体重が全国平均を下回っていた。安静時血圧については全国平均とはぼ同値であった。3)トレーニング期の平均トレーニング時間は119.5±52.8分,平均睡眠時間は462.5±59.3分であった。4)アンケート調査から朝食の欠食者はほとんどみられず,牛乳摂取頻度は高いが緑黄色・淡色野菜の摂取頻度は低かった。間食でよく食ベる物としてスナック菓子類,キャラメル・あめ・チョコレート類が多くあげられ改善が必要である。栄養補助食品の利用や試合前・当日に常食する食品がある者はあまりみられなかった。果物の摂取頻度が比較的高く,好きな食べ物のトップに果物があげられた。5)氷上トレーニングは週3回以上実施している者が約8割で所有級が高いほど練習量が多かった。陸上トレーニングは実施頻度が低かった。6)減量については,約3割の選手が経験しており,方法は間食・夜食を控える,痩せることを目的に運動をする等であった。怪我については約1/4の選手が経験しており,部位は足首・膝等の下肢が多く,年齢・所有級が高くなるにつれて多かった。7)起床時刻は7時,就寝時刻は22時・23時が多かった。健康に対する自信があまりない者が約2割であり,不定愁訴は約3割の選手にみられた。内容は疲れやすい・風邪をひきやすい等であり,特に中学生に目立っていた。8)勝つための食事管理の必要性を感じている選手は約半数であり,栄養・コンディショニングに対する関心度の低さが伺えた。