著者
加藤 菜美絵 小川 祐樹 諏訪 博彦 太田 敏澄
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:09151249)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.19-32, 2009-09-30
被引用文献数
2

本研究は,企業内SNS導入の有効性を明らかにすることを目的とする。具体的には,有効性を問題解決に着目し,組織の意思決定モデルであるサイモン-松田モデルとゴミ箱モデルに基づき,問題解決の過程と構造の面から明らかにすることにより,企業内SNSが企業の問題解決において果たす役割を考察する。まず,企業内SNSの利用に関する文献の調査に基づき,調査仮説を設定する。そして,調査仮説の検証および企業内SNSの有効性をより明確にするために,企業への構造化インタビュー調査と質問紙調査を行う。その結果,企業内SNSが,導入以前は関与することのなかった多様な参加者の気軽な情報発信や議論を可能にすること,個々が抱える既存の問題と多様な参加者により提示される有効な情報を結びつけること,選択肢の候補を得る洞察段階や解決策を得る選択段階において効果があり素早い問題解決を可能にすることを確認している。さらに,日記機能やQ&A機能,コミュニティ機能といった気軽な情報発信をサポートする機能が,「この場で相談してみよう」と思わせる親和の整った場を構築することに役立っていることを確認している。

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