著者
東海林 麗香
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.299-310, 2009

本稿では,持続的関係で起こりうる「同じ原因の葛藤が未解決のままで繰り返し生じる事態」に焦点を当て,新婚女性による記述や語りから反復的葛藤の経過を縦断調査により追跡する中で,その意味づけプロセスについて探索的に検討することを目的とする。その上で,これまで不適応的であるとされることの多かった未解決であるという事態が持続的関係においてどのような意味を持つのかについて再検討する。回答者による解決必要性の認知と意味づけプロセスから未解決事態を分類したところ,解決しなくてもいいという認識の[解消型]においては,相手に対する熟知性や信頼感の高まりや,葛藤を反省的に捉えるようになるという意味づけプロセスが見られた。可能なら解決した方がいいという認識の[保留型]では,最初は混乱や結果への不満を示していたが,葛藤を客観的に振り返る機会をきっかけに[解消型]と同様の意味づけプロセスを経るに至った。解決すべき問題という認識の継続している[継続型]では,問題解決のための方法を模索している[積極継続型]と,解決したいと思いながらも行き詰まりを感じている[消極継続型]という2つのタイプのプロセスがあった。以上の結果により,未解決であることや解決を志向しないことにも異なるタイプがあり,関係性にも異なる影響を与えている可能性があることが示唆された。

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