著者
丹羽 健
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.481-495, 1991
被引用文献数
2

若年女子労働負荷のあり方を適正に評価するための基礎資料を得ることを主目的として,626名の専門学校の女子学生に対して月経に関連する諸症状についての質問票調査を行い,「月経前期」・「月経期」・「月経前期,月経期の2期を除いた残りの時期(平常期)」の3期に,37種の一般日常的な自覚症状がどの様な状態で出現するかを同定した。これらの所見に,その他の月経関連情報,肥満度などを解析対象として加味した形で,各個人水準における諸自覚症状の3期相互間での出現の一致性や自覚症状数の一致性,さらに37症状の相互関連性を単変量あるいは多変量として解析し,以下の結論を得た。1.「月経前期」・「月経期」の2期は,「平常期」に比べ,各種の自覚症状が明らかに多数出現し,月経前期の出現症状数は月経期の症状数との間に個人水準において強い関連があることが認められた。2。初経年齢が遅延した事例では,月経血量が少ないこと,るいそう傾向,月経不順といった事象に相対的に関連を認めた。3.若年健常女性においては,腹部症状,精神神経症状,腰痛等の一般的な愁訴の多くは,月経前期由来のものと考えられた。しかしながら,これらの愁訴の多くは月経期に出現する同様の愁訴と明確なる医学的な識別は行い難いと考えられた。4.若年女性に対する保健医療管理の視点からは,これらの愁訴に関する情報は個人水準での差がある程度認められるので,労働負荷に関しては,このような個人の愁訴についての特性を加味する必要があると考えられた。さらに「生理休暇」については,本来は「月経前期」も対象時期として加えられるべきものであると考えられた。

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