著者
高峰 文成
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.3-10, 2001

Elcatoninによる骨量増加作用は臨床的ならびに実験的に報告されているが,投与量が報告によって一定せず,しかもいずれも一時点での測定のみであって,経時的なものはない。したがってその至適用量と至適投与期間は今日も不明である。本研究はelcatonin投与前後にdual energy X-ray absorptiometryを用いて骨量を測定すると共に骨代謝マーカー, osteocalcinとdeoxypyridinoline (DPD)を測定し,その値の変動について検討した。12か月令のWistar系雌ラット119匹を用いて実験的骨粗鬆症モデルラット(高代謝回転型)を作成した後, elcatonin非投与(非投与群), elcatonin 1 unit (U)/kg (1U群), 5U/kg (5U群),と25U/kg (25U群)を3か月間投与して,毎月経時的に大腿骨骨量と骨代謝マーカーを測定した。結果は37か月間の投与では25U群が骨量増加には最も優れていたが,投与1か月後に摂食減退と運動低下を来たし,骨量が減少した。1U群は2か月間で骨量が漸増し, 3か月目に減少した。5U群は3か月間を通して減少は軽微であった。OsteocalcinとDPDは各群ともelcatonin投与直前に比べて低値であった。Osteocalcinは5U群では1U群に比べて2か月まで高い減少率を示し, 3か月ではDPDの減少率が高く, osteocalcinが低かったため1U群は2か月間骨量が増加, 3か月目で減少し, 5U群は3か月間骨量減少を抑制した結果を反映した。25U群では1か月で両者が増加, 3か月でDPDが著しく減少し, osteocalcinが増加したため骨量が最も増加した。3か月間を通して25U群が最も骨量の増加を期待出来たが,1か月目の摂食減退と運動性低下などの副作用による骨量減少が問題であり,副作用がなく骨量増加を期待し得るのは1U群であった。したがって本研究ではelcatonin 1U/kgを2か月間投与すると安全な状態で骨量増加を期待し得ると結論した。

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こんな論文どうですか? エルカトニンが卵巣摘出ラットの骨代謝(骨量と骨代謝マーカー)に及ぼす影響(高峰文成),2001 http://id.CiNii.jp/e6zrL

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