- 著者
-
周村 諭里
- 出版者
- 尚美学園大学
- 雑誌
- 尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, pp.117-132, 2009-09-30
普段大学で利用されている教科書には、文章のみならず、様々なイラストが含まれている。本研究ではそれらのイラストが学習に及ぼす様々な影響について実験・調査する。第一段階として、教科書内に含まれる絵を大きく3つに分類した。イラスト、写真、図表の3つであった。次に、先の教科書内の絵分類ではイラストは教科書に必要ないものと評価されたことに対して検証を行った。筆者は、イラストは学習促進に有効なものであると考えたが、結果は顕著にはあらわれなかった。しかし、既学者・初学者・親などの立場の違いにより、教科書イラストの学習促進にもつ意味が変わってくる傾向がみられた。三つ目に、教科書イラストの配置デザインに関する調査をおこなった。本調査では、4タイプのイラスト配置デザインをした教科書を選び、第一印象で好みのタイプの教科書を選んでもらった。その結果、教科書内に含むイラストには適量があり、配置デザインとしても絵と文章の両方を用いた説明がなされているものが多くの学習者に好まれた。本研究では、教科書イラストと学習促進の関係は、教科書利用者の立場によって異なってくる傾向が伺えた。今後は、マンガ教材も含めたイラストと教科書利用者の立場の違いによるわかりやすい教科書について男女差など深めて検証を行う必要があると考える。