著者
中橋 友子
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.13-35, 2016-09-30

多くの日本人は、暴言を吐き、敵を作るトランプが、アメリカで人気を博す理由について理解に苦しんでいる。私はその理由について、現在アメリカに山積している様々な問題を一刀両断に解決してくれる「ヒーロー」を、人々が求めているからだという仮説を立てた。アメリカにどんな文化的な背景があり、そのようなヒーローが求められているかを、本論文において探っていきたい。
著者
櫻井 準也
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.97-104, 2015-09-30

映画やアニメなどのポピュラー・カルチャー(大衆文化)には古くから考古学者が登場する作品は多いが、彼らは大学教授や冒険家である。これに対し、わが国では1990年代後半より漫画作品の中で遺跡調査の調査員や作業員が主人公として描かれるようになった。その背景に、バブル景気の影響で緊急発掘調査件数が増え、わが国で発掘調査が身近な存在となったことがあると考えられる。これらの漫画作品は発掘作業員の視点から発掘調査が描かれたものであり、従来の考古学では記録されないわが国の発掘調査の実態を知ることができる貴重な資料として捉えることができる。
著者
櫻井 準也 Junya SAKURAI 尚美学園大学総合政策学部
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.29, pp.87-98, 2017-03

現代のポピュラー・カルチャー(大衆文化)の一つであるわが国の漫画には、多くの作品に考古学者が登場してきた。その作品数は1980年代になると若干増加するが、その前半ではSF漫画やオカルト漫画に考古学者が登場していたのに対し、後半になるとギャグ漫画・アクション漫画・アドベンチャー漫画などに考古学者が登場するようになる。また、1980年代の考古学者キャラクターは必ずしも従来のような中年男性、スーツ姿、ステレオタイプ化したサファリ・ルックではない。実際の考古学者に近いキャラクターもあれば、映画「インディ・ジョーンズシリーズ」の影響を受けたキャラクターや女性考古学者が登場するなど、考古学者イメージが多様化している。このように考古学者が登場する1980年代の漫画作品には1970年代とは異なる傾向がみられる。The archaeologist appeared in Japanese comics which are one of the contemporary popular cultures at many works. In the 1980s, the number of the works increased a little. And while the archaeologist had appeared in SF comics or occult comics at the first half, it becomes in the second half, an archaeologist came to appear in comics full of gags, action comics, adventure comics, etc. Moreover, the archaeologist character of the 1980s is not necessarily the middle-aged man, not wore the suit, and not the stereotyped Safari look. Some character similar to an actual archaeologist, some character is subject to the influence of the movie "Indiana Jones series", and female archaeologist character has appeared. The image of archaeologist was diversified. Thus, the comics work of the 1980s in which archaeologist appeared, has a different tendency from the comics work of the 1970s.
著者
櫻井 準也
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.101-110, 2016-09-30

現代のポピュラー・カルチャー(大衆文化)の一つである漫画には、手塚治虫や石ノ森章太郎などの漫画界の巨匠たちをはじめ、多くの漫画家の作品に考古学者が登場してきた。その数は1960年代まではそれほど多くなかったが、1970年代になるとその作品数が増え、当時のオカルトブームの影響を受けた作品に考古学者が登場するなど当時の世相を反映している。また、1950年代から1960年代の考古学者キャラクターは中年男性で、普段は学者らしいスーツ姿、発掘調査や野外活動においては作業着姿やサファリ・ルックで描かれるが、1970年代になるとこれらとは異なったイメージの新たなキャラクターが出現している。このように、漫画作品は当時の日本社会における考古学者や考古学のイメージを知ることができる貴重な資料として捉えることができる。
著者
木村 光太郎 Kotaro KIMURA 尚美学園大学総合政策学部 Shobi University
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.30, pp.47-66, 2017-09

近年、欧米諸国や日本が直面している、代議制民主主義の機能不全、有権者の政党離れ、市民の政治参加の退潮、政治的無関心などの「民主主義の失敗」状況のなかで、いかに政治空間をより多様な人々にたいして開き、民主主義そのものへの不信を払拭するかが政治的課題になっている。理念としての民主主義は、すべての人々による主体的な政治参加と自己を支配する秩序形成(集団的な自己支配)である。政治の現実にかかわる人間とはだれなのかを問うことは、民主主義において重要なテーマである。本稿は、現代の民主主義論における政治主体の再構成の条件を考えるための、ひとつの視座を提示した。また、本稿は、政治主体にたいする懐疑論を大衆社会状況における課題として捉え、思想史の文脈から整理した。さらに、言語論的転回とミシェル・フーコーによる近代的主体概念批判を取り上げ、哲学史的位置づけのなかでの主体の懐疑論について検討を加え、1990年代以降の新しい「市民社会論」に位置づけられる、エルネスト・ラクラウとシャンタル・ムフの「ラディカルな民主主義論」を批判的に検討した。本稿は、ラクラウとムフの「ラディカルな民主主義論」が、西洋中心主義とシニシズムとのあいだで、大衆社会状況のなかで浮かび上がった政治主体にたいする懐疑論にふたたび逢着することを指摘した。The purpose of this paper is to provide one viewpoint for considering the conditions of the reconstruction of political subject in contemporary democratic theory. Skepticism about political subjects has been developed as a matter of mass society in the early 20th century in the fields of social and political thought. In mass society, political subjects who are rationalists with well-educated and property, which the premise of modern democracyhad presupposed, have been lost, and the way in which the subjects of political practice are concerned is not a premise of politics but a political problem. In this paper, I point out that "the radical democracy theory" of Ernesto Laclau and Chantal Muffe, which rely on post-modern philosophy, will reunite with skepticism of the problem of political subjects posed by mass society between Western-centered and postmodern cynicism. Mass society theory is totally a thing of the past, academic arguments rarely being done. It is not because mass society was overcome, but rather the design of the subject just changed.
著者
荒 まゆみ
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.27, pp.71-88, 2016-03

尚美学園大学で行われている留学生を対象とした入学時の日本語プレイスメントテストの結果をもとに2つの仮説を実証する。次に、1年終了後の達成度判定テストとの比較、さらに日本語能力試験N1の得点との関係を検証する。
著者
高橋 幸裕
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-19, 2016-03-31

少子高齢社会、少産多死社会となった我が国において社会福祉政策の位置づけが揺らいでいる。介護保険制度の浸透も併せて介護サービスの需要は高まり、ニーズも多様化している。しかし、戦後整備されてきた高齢者福祉政策と日本人の死生観とはズレが生じはじめている。どこで死を迎えるのか、どこで死が迎えられるのかという理想と現実に乖離が生じているのである。その結果、多様化するニーズは従来の健康で生き続けるという福祉的充実だけでなく、死まで包括するようになってきた。しかしながら、それは十分なものではない。介護サービスの充実や体制の構築を進めていくのはもちろんのこと、法や政策においても死を包括した枠組みの構築をすることが必要である。福祉国家として成熟していくには、各個人がより良く死ぬというQOD(クオリティオブデス)がどこまで高められるのかということも念頭に置かねばならないが、社会的成熟も含めてまだまだ十分な議論と社会的合意が形成していく必要がある。今後、少なくとも死を包括した形での政策的展開を進めていくことが必要である。これを実現した時こそ、福祉国家として新しいモデルを提示することができるのではないだろうか。
著者
日野 勝吾
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.67-85, 2016-09-30

公益通報者や内部告発者の保護のあり方については、労働法学や消費者法学等を交錯領域の研究分野として位置づけられる。とりわけ労働者(公益通報者)の保護の立場から、労働法学の役割は大きく、労働契約論や就業規則論に基づいて、企業秩序の維持、秘密保持義務との関連において公益通報をどのように捉えるべきかについて考察した。また、本稿では公益通報者保護法の論点を中心に具体的検討を進めた。
著者
新井 久爾夫
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.35-51, 2001-03-31

2000年6月25日に投票が行われた第42回衆議院議員総選挙は、自民、公明、保守の与党3党が揃って大きく議席を減らしながらも、衆議院での絶対安定多数を維持するという微妙な結果に終わった。自民党は東京、名古屋などの大都市圈の選挙区で有力議員を含む多くの候補者が落選したばかりか、「1区現象」といわれたように県庁所在地の選挙区の1区でも苦戦をした。その一方で、農村部の選挙区ではこれまでどおり多くの議席を確保した。また、比例でも前回に比べてかなり議席を減らした。都市住民の批判が自民党を敗北させた、都市では有権者の政党離れが進み、いわゆる「無党派層」が増えており、その「無党派層」の自民党への反乱がこのような選挙の結果をもたらしたというのが選挙後のマスメディアなどの論調である。
著者
バロソ イザベル
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.81-95, 2010-09-30

「神話」とは何か。神話が記録される理由、即ち神話の中に隠されているイデオロギーとは何であろうか。 19世紀にはドグマとして考えられた「神話」の概念は、20世紀に入ると新しい思想のもとに改めて考えられるようになった。比較文学の中で「受容美学」が「テクストの不確定性」を指摘するなど、神話の意味も疑問視され、その「絶対的」・「客観的」な意味を失った。神話の歴史性や芸術性はともかくとして、「下部構造」、或いは「ジェンダー差」という提起が重要なものとなり、神話学研究の中心となる。 日本神話で、「アマテラス」や「イザナミ」の象徴性や役割を分析すると、月経などの「女性のもつ神秘性」の中に「性的抑圧」の意味が隠されていると考えられる。 さらに、「集団のアイデンティティを強める」神話の中に、社会に対するメッセージがどんな風に現れているのか。1950〜60年代の反精神医学からニュー・エイジに表れるアルターナティブな文化が現代の神話のように考えられる。
著者
角屋 明彦
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.25, pp.37-45, 2014-10

後漢末から三国時代初期にかけての中国には名医・華佗がいた。彼が構築しようとした〈治療世界〉を考察するに際して、曹操の〈政治世界〉との対照を試みる。「流動する混沌に働きかけてととのえる」という原義を持つ「治」なる漢字が、華佗の〈治療世界〉では人体内部の〈気〉の流れに働きかけて「ととのえる」=「なおす」ものであり、曹操の〈政治世界〉では社会に働きかけて「ととのえる」=「おさめる」ものであった。さらには、この〈治療世界〉と〈政治世界〉が〈病やまい〉を介して接触したことが双方に決定的な影響を与え、前者は永遠の生命を有すことに、後者は新たな〈病〉を孕むことになっていった。In order to examine the healing system of Hua Tuo(華佗), I compare it with the politicalsystem of Cao Cao(曹操). The Chinese character zhi(治) originally means "trying toarrange the changing chaos". To Hua Tuo, zhi means "trying to arrange the Qi(気) in humanbody" i.e."to cure". To Cao Cao, zhi means "trying to arrange the political chaos insociety" i.e."to govern". Furthermore, these two differing systems had contact throughthe medium of a disease. This contact gave eternal life to the healing system of Hua Tuoand gave another new disease to the political system of Cao Cao.
著者
小林 正英
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.23-38, 2004-09-30

EUの安全保障政策形成は憲法条約における集団防衛条項の取り込みによって完成しつつあるが、NATOとの「棲み分け」という観点からは、EU安全保障戦略に見られるような新たな質的役割分担を目指していると思われる。
著者
青沼 裕之
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.87-103, 2001-10-31

The Purpose of this study is to explain what help and cooperation Walter Citrine gave to the British Workers' Sport Association (BWSA) which tried to prepare for the Antwerp Workers' Olympiad in 1937, and send the British team to Antwerp. This thesis devides on four chapters : first introduction ; second, trading views on holding of the Antwerp Workers' Olympiad between the International Federation of Trades Unions (IFTU) and Walter Citrine ; third, negotiation between the Amateur Athletic Association and him about participation of the British team in the Antwerp Workers' Olympiad ; forth, conclusion. The Antwerp Workers' Olympiad was organized and conducted by the Socialist Workers' Sport International (SWSI) which was led and supported by IFTU and the Labour Socialist International (LSI). Then BWSA, which prepared for the Antwerp Workers' Olympiad and sent the British team to Antwerp, was patronaged by the Trades Union Congress (TUC). Walter Citrine was the general secretary of TUC General Council and the Chairman of IFTU in late 1930s, so that he could use his power to hold the Antwerp Workers' Olympiad.
著者
安倍 大輔
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.19-31, 2006-03-31

国連は2003年11月の国連総会決議によって、2005年を「スポーツと体育の国際年」と制定した。その制定目的は、教育、健康、開発、平和に対してスポーツと体育の持つ潜在的な力を世界各国が認識し、スポーツと体育を政策の中に反映させていくこと、とされている。そのための具体的な取り組みとして、年間を通じて様々なイベントが国際的なレベルからコミュニティーのレベルに至るまで数多く開催された。そしてそれらの成果は2005年12月の「マグリンゲン実施要項2005」として集約された。このような国連の「スポーツと体育の国際年」は2000年に国連が発表した「ミレニアム開発目標」との密接な関係がある。またIYSPEにおける様々な取り組みは、1970年代のスポーツ・フォー・オール運動や2004年の「スポーツを通じた教育のヨーロッパ年」といった蓄積の上に立つものである。
著者
宮脇 健
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.22, pp.73-89, 2013-03

本研究は新聞、テレビという既存のメディアが行うジャーナリズム活動に対して学生がどのような意識を持っているのかアンケート調査をもとに考察を試みるつもりである。現在、インターネットが普及し、デジタル化による社会を取り巻く環境の変化に伴い、ジャーナリズムは苦境に立たされているといえる。こうした社会環境の変化に対して、新聞やテレビといった既存のメディアがビジネスモデルを再考しなくてはならない、もしくは再考せざるをえないことは多くのジャーナリスト、またはそれに関わる研究者から指摘されてきたことである。では、新聞を読まない、もしくはテレビを視聴しないといわれている若者はジャーナリズムに対して何を感じているのであろうか。本稿では、大学生に実施したジャーナリズムに関するアンケート調査の結果を分析することで、ジャーナリズムの社会に果たす役割や問題点について明らかにし、その結果として次の世代がジャーナリズムに何を求めているのか解決の糸口を探ることを目的としている。
著者
川本 勝
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.27, pp.29-52, 2016-03

TOPIX Core30の2013年のデータを用いてNISAの初心者が株式投資するためのポートフォリオについて調査した。その結果、NISAの初心者でも、「局所的な極小値で買い、極大値で売る」手法のみで大きな利益が出せる事が解った。しかし、この結果が東京証券取引所に上場している全ての企業について同様に当てはまるかどうかは、別途、調査が必要である。この結果は、筆者が既に発表している2 本の論文(川本勝2014、2015)の結果とも矛盾しない。
著者
川本 勝
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.28, pp.37-65, 2016-09

単純な「局所的な極小値で買い、極大値で売る」手法のみを用いてNISAの初心者が株式投資するための売買タイミングについて調査した。その結果、NISAの初心者でも、どのようなタイミングで売買をしても平均的には1~3%程度の成功率を得られる事が解った。また、この手法では、最大で25.5%の成功率を得ることが出来るが、最悪の場合は4.9%の損をすることが解った。しかし、この結果が東京証券取引所に上場している全ての企業について同様に当てはまるかどうかは、別途、調査が必要である。この結果は、筆者が既に発表している3本の論文(川本勝2014、2015、2016)の結果とも矛盾しない。
著者
周村 諭里
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.117-132, 2009-09-30

普段大学で利用されている教科書には、文章のみならず、様々なイラストが含まれている。本研究ではそれらのイラストが学習に及ぼす様々な影響について実験・調査する。第一段階として、教科書内に含まれる絵を大きく3つに分類した。イラスト、写真、図表の3つであった。次に、先の教科書内の絵分類ではイラストは教科書に必要ないものと評価されたことに対して検証を行った。筆者は、イラストは学習促進に有効なものであると考えたが、結果は顕著にはあらわれなかった。しかし、既学者・初学者・親などの立場の違いにより、教科書イラストの学習促進にもつ意味が変わってくる傾向がみられた。三つ目に、教科書イラストの配置デザインに関する調査をおこなった。本調査では、4タイプのイラスト配置デザインをした教科書を選び、第一印象で好みのタイプの教科書を選んでもらった。その結果、教科書内に含むイラストには適量があり、配置デザインとしても絵と文章の両方を用いた説明がなされているものが多くの学習者に好まれた。本研究では、教科書イラストと学習促進の関係は、教科書利用者の立場によって異なってくる傾向が伺えた。今後は、マンガ教材も含めたイラストと教科書利用者の立場の違いによるわかりやすい教科書について男女差など深めて検証を行う必要があると考える。
著者
櫻井 準也 Junya SAKURAI 尚美学園大学総合政策学部
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.24, pp.39-53, 2014-03

わが国において遺跡は埋蔵文化財として捉えられ、長い間保護すべき対象として扱われてきた。しかし、近年になって遺跡を観光資源や「町おこし」などに積極的に活用しようという動きが出てきている。こうした傾向に対して、本稿では遺跡の活用のあり方の一つであり、現在全国各地で実施されている「遺跡まつり」を取り上げた。まず、全国各地で実施されている「遺跡まつり」の現状について概観し、教育普及型と町おこし型という「遺跡まつり」の類型化を試みた。その後、具体的な事例として町おこし型の「遺跡まつり」である「芝山はにわ祭」(千葉県芝山町)の歴史や催しものについて詳細に検討した。そして、この祭りは行政のバックアップによる「町おこし」としての役割だけでなく、地元の小中学生を古代人として参加させることによって「地域アイデンティティの創出」に寄与していることを指摘した。In Japan, archaeological sites were regarded as a cultural property and have been treatedas an object of conservation for a long time. However, archaeological sites are utilizedfor tourist attractions and "town revitalization" in recent years. In this paper, I picked up "archaeological site festival" and surveyed about the actual condition of the"archaeological site festival" in Japan. And examination was added in detail about"SHIBAYAMA HANIWA(ancient clay figure) FESTIVAL" (Shibayama-machi, Chiba).As a result, I pointed out that this festival had contributed not only the role of the "townrevitalization" but the creation of "local identity" for elementary and junior high schoolstudents by making it participate as the ancients.
著者
中村 宙正
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.1-11, 2016-09-30

公債市場補完制度は、指定アドバイザー制度と市場関係者地域通貨を組み合わせて実用化するが、通貨発行益(シニョレッジ)の導出により、政府の予算制約を緩和する効果を確認できる。ゆえに「市場関係者地域通貨の口座におけるマイナス(赤字)を、政府に認めてはならない」とする、財政学においての新しい原則を定める。