著者
西山 久子
出版者
山陽学園大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.61-73, 2008-12

教育相談(スクールカウンセリング)は,1950年代にアメリカのガイダンス(生徒指導)が紹介された際,共に日本へ紹介されて以来,60年近い歴史を持っている。しかしある調査によると,学校教育相談に対して,教育相談に関わる教員の間で日常指導重視と理論研修重視、個人的取り組みと学校全体的取り組みという2組の相反する認識が混在するため,一般の教員の間で共通理解されることが難しいと言われている(山崎,1994)。また,大野(1997)も現場で教育相談活動を行う際の定義が未完成であることを示唆している。その背景には,学校レベル・自治体レベルにおいて,教育相談の定着を促進する規定要因が明確化されていないことがあげられると考えられる。たとえば,西山・淵上・迫田(2009)は,教育相談の学校組織内にある規定要因を探索的に検討し、教育相談体制・教育相談担当者の個人的力量・教育相談に対する校長のリーダーシップ・教育相談に関する教員間の協働的風土と同調的風土が影響を与えているとしている。その際に教育行政の教育相談に対する支援のあり方に関する課題が示唆されたが、先行的な研究のなかに,この点について包括的に検討されているものは見当たらない。そこで本稿においては,教育相談の定着のために,まず,これまでの教育相談研究を概観したうえで,特にこれまで目を向けられることの少なかった,教育相談定着の組織外要因について検討する。次に,かつて教育相談のモデルとなった米国のスクールカウンセリングの成立の背景とあり方を概観したしたうえで、米国におけるスクールカウンセリング定着の組織外要因を検討する。さらに、それらを対比させながら、日本における教育相談定着の組織外要因の一つである教育行政からの支援についての聞き取り調査の結果を検討する。そして最後に,教育相談の定着に向けた組織外要因の研究を,より精緻化されたものにすることについての考察を行う。

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