著者
鎌田 雅史 西山 久子 迫田 裕子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.88.16301, (Released:2017-05-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1

This study investigated the efficacy of upward influence tactics in school counseling embeddedness. We adopted Social Identity Theory perspectives, and examined the dyadic interaction between principals and teachers in charge of school counseling (School Counseling Teachers: SCT). We analyzed 293 principals and 285 SCT in 298 elementary schools. Results indicated that the principals’ recognition of Consultation and Rational persuasion was positively correlated with shared recognition in school counseling (SCT’s roles and competencies). In the same way, Rational persuasion was positively correlated with the dyadic recognition of principals’ involvement (fostering cooperation among school personnel and SCT’s positive involvement). However, recognition of Pressure was negatively correlated with principals’ involvement. Furthermore, the results reveal that school counseling embeddedness was fostered through shared recognition and participative behavior by principals.
著者
西山 久子
出版者
山陽学園大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.61-73, 2008-12

教育相談(スクールカウンセリング)は,1950年代にアメリカのガイダンス(生徒指導)が紹介された際,共に日本へ紹介されて以来,60年近い歴史を持っている。しかしある調査によると,学校教育相談に対して,教育相談に関わる教員の間で日常指導重視と理論研修重視、個人的取り組みと学校全体的取り組みという2組の相反する認識が混在するため,一般の教員の間で共通理解されることが難しいと言われている(山崎,1994)。また,大野(1997)も現場で教育相談活動を行う際の定義が未完成であることを示唆している。その背景には,学校レベル・自治体レベルにおいて,教育相談の定着を促進する規定要因が明確化されていないことがあげられると考えられる。たとえば,西山・淵上・迫田(2009)は,教育相談の学校組織内にある規定要因を探索的に検討し、教育相談体制・教育相談担当者の個人的力量・教育相談に対する校長のリーダーシップ・教育相談に関する教員間の協働的風土と同調的風土が影響を与えているとしている。その際に教育行政の教育相談に対する支援のあり方に関する課題が示唆されたが、先行的な研究のなかに,この点について包括的に検討されているものは見当たらない。そこで本稿においては,教育相談の定着のために,まず,これまでの教育相談研究を概観したうえで,特にこれまで目を向けられることの少なかった,教育相談定着の組織外要因について検討する。次に,かつて教育相談のモデルとなった米国のスクールカウンセリングの成立の背景とあり方を概観したしたうえで、米国におけるスクールカウンセリング定着の組織外要因を検討する。さらに、それらを対比させながら、日本における教育相談定着の組織外要因の一つである教育行政からの支援についての聞き取り調査の結果を検討する。そして最後に,教育相談の定着に向けた組織外要因の研究を,より精緻化されたものにすることについての考察を行う。
著者
山本 力 塚本 千秋 西山 久子 赤澤 大史
出版者
岡山大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岡山大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13463705)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.155-166, 2003

以下の報告は、平成14年8月26日に開催された岡山大学教育学部附属教育実践総合センター研修講座の教育臨床部門の分科会「シンポジウム:教育臨床における評価・見立てについて」での報告内容をもとに、発表者がそれぞれに再構成して書き下ろしたものである。シンポジウムのコーディネーターは塚原千秋が行った。そして、まず心理臨床の視点から山本が教育臨床の見立てとは何かについて模索した見解を報告した。続いて専任スクールカウンセラーの立場から西山が米国のスクールカウンセリングをモデルにした評価の仕方を詳しい報告にした。最後に学校でのブリーフセラピーの可能性を探る教師の視点から赤沢が実践的な方法と認識を報告した。This paper is aimed at reporting the matter of symposium on the subject of clinical evaluation and assessment in school setting. The focus of discussion is especially on our needs to evaluate and assess students, personnel, parents, ourselves and "school guidance and counseling program". Each symposist expresses ones views and ideas, which are implemented through their work in school setting, and have to be elaborated in the future.