著者
李 常慶
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.597-603, 2009-12-01

清朝の末,中国における近代的図書館が誕生してまもなく,最初の図書館規則が作られた。民国時代になると,図書館の設立が盛んになり,図書館法制度も大きな進展を見せるようになった。だが,新中国成立後の最初の30年間,イデオロギーや政治闘争が優先されたことで,図書館法制度の整備が軽視され,図書館法制度は大きく後退した。1980年代からの改革開放路線により,図書館は大きな発展を遂げただけでなく,図書館法制度も整備されるようになった。しかし,これまでの中国における図書館法制度の整備は,主に行政府部門の主導で制定し公布した「条例」や「規程」などの形によってなされ,立法機関が制定した正式な図書館法がいまだに存在しない。これは,中国社会における図書館の低い影響力や国家法制度確立の遅れ,異なる官僚組織に所属する図書館組織構造の問題および経済を最優先する現実主義的な考えなどによるところが大きいと思われる。

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