著者
森 順子
出版者
人間環境大学
雑誌
こころとことば (ISSN:13472895)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.15-29, 2010-03-31

萩原葉子は詩人萩原朔太郎の長女である。子供時代は「死に方が分からなくて生きていた」と述懐するほどに孤独であった。祖母に苛められ、抜きがたく植えつけられた自己否定の観念に苦しんだ日々である。作家になり、ダンスに没頭することによって、抑庄されてきた心を解き放ち、自己を高め続けたのである。彼女は自らの心に潜む父への「分析できない二重の愛憎」を吐露している。本稿では、父親に対する思いに焦点を当て、家族との関係を通して萩原葉子の内的世界を探る。

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