- 著者
-
時長 逸子
宇都宮 千明
- 出版者
- 日本デザイン学会
- 雑誌
- デザイン学研究 (ISSN:09108173)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.4, pp.85-90, 2009
- 参考文献数
- 18
- 被引用文献数
-
4
広告戦略においてカラーバリエーションという手法は、生産的とはいえない位置づけであるにもかかわらず、広く見られるものである。その理由を知るための調査を行い、以下のような結果が導かれた。(1)製品バリエーションとしてのカラー戦略である。(2)ある製品に対する消費者の固定観念を打ち破る色彩の利用である。(3)イメージ戦略としての色彩の利用である。明らかに色彩の心理効果を活用し、展開する。これらの結果はPhilip Kotlerによる「5つの製品レベル」に即したものである。しかしながら、このレベルに当てはまらない広告が存在した。その広告に対する印象調査を行い、(4)カラーバリエーションを展開していながらも、その製品の売れ行きをあまり重視せず、どちらかというと企業イメージや製品イメージを広く認知ざせるための手段として利用されるもの、という新たな広告戦略があることが判った。