著者
堀井 泰明
出版者
天使大学
雑誌
天使大学紀要 (ISSN:13464388)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.57-65, 2010-03-31

近年とみに注目を集めている看護倫理は、その倫理綱領の歴史からして、医療倫理の一部というよりも、独自の議論の長い積み重ねの上に存在するものである。本稿では看護倫理という問題領域の形成過程を日本およびそのモデルとなった米国を中心に概観した上で、現在の倫理理論的枠組みを検討する。看護倫理は、まずケアリングを人間関係の基本的な価値とする哲学的ケアリング観を基盤にしながら、義務としての様々な倫理原則を柱に、その間を埋めるものとして、ケアリングを中心とした徳の倫理を展開する。なぜケアリングが看護倫理の中心的な価値であるかというと、それが一つの徳として実践上の動機付けを提供し、またそれによる関係性があってこそ臨床での諸問題をそれぞれ個別の文脈で捉える契機が提供されるからである。

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