著者
山本 伸一
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.1-24, 2010-06-30

ユダヤ教の霊魂転生論は、初期カバラー以来、神秘の重要な側面と認識されていた。本論考の目的は、この教義の解釈からそこに反映されるユダヤ人の精神的状況を考察することである。そのために主として一六世紀のツファットと一七世紀のアムステルダムの事例を扱う。前者は既存の霊魂転生論をカバラーの宇宙論的な救済史のなかに適用した点に特徴がある。さらに、神話的な性質の強いこの理論が、ツファットではカバリストの戒律や慣習の遵守と関連して語られたことも見逃せない。理論と実践の両面でカバリストの精神に多大な影響を及ぼしたことはツファットに特有の現象であった。それに対して、一七世紀のアムステルダムの事例には、霊魂論の実存的解釈を見てとることができる。そこではもはや霊魂転生論の本質である戒律遵守が問題になることはなく、マラーノの救済を保証する教義として扱われるなど興味深い展開を示している。

言及状況

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わかりやすい。カバラのヒストリオグラフィー興味があります。山本さんのその研究はどうすれば読めますか?これも? cinii: http://t.co/stm4JWSK RT @shnyamamoto: @Kagami_Ryuji カバラーは閉鎖性を前提として伝承の指向性も備えてい

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