著者
和田 崇
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.69-87, 2010-06-30
被引用文献数
1

本研究は,ウェブログ・ポータルの例として広島ブログをとりあげ,利用者間の地理的近接性に着目して,そこで形成される社会的ネットワークの構造を明らかにするとともに,そのネットワークが地域の経済活動や市民活動に及ぼす影響について検討した.その結果,広島ブログに投稿されるコメントは,リアルスペースにおける作者と読者の居住地とは無関係に,お互いのつながりを確認することを目的としたり,興味や関心にもとづいて投稿されるものと,作者と読者の居住地間の地理的近接性に応じて投稿されるものがあることがわかった.また,コメントや友達リストを通じて,利用者が集中する広島市をハブとする地域間ネットワークとともに,キーパーソンが居住する市町での地域内ネットワーク,居住地に関わりなく情報を交換する情報縁ネットワークが形成される.パーソナル・レベルでは,広島県内で相互作用を活発に展開し,ローカルなネットワークを形成する作者と,広島県外に居住する読者や居住地を非公開としている読者との情報交換を主眼とし,ノンローカルなネットワークを形成する作者がみられた.このうち,ローカルなネットワークを形成する作者の一部は,経済活動や市民活動の実効化に向け,広島ブログを情報の発信および収集,社会関係資本形成の場として活用している.

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