- 著者
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渡部 克哉
- 出版者
- 一般社団法人日本社会福祉学会
- 雑誌
- 社会福祉学 (ISSN:09110232)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.1, pp.18-28, 2010-05-31
本論文では,国会会議録や官庁の資料を中心に新聞記事や雑誌記事などで補いながら,寡婦(寡夫)控除の変遷をたどり,寡婦と寡夫の要件の差異および寡夫控除の是非に関する議論におけるジェンダー観を考察した.寡婦(寡夫)控除は寡婦については1951年,寡夫についても要望が高まるなかで1981年に創設された.要件の差異は,寡夫は寡婦に比べ,配偶者との死別や離別によって経済的な影響を被ることは少なく,収入も多いという想定から設けられたと推測された.つまり,寡婦(寡夫)控除の要件の差異,さらには寡夫控除の是非に関する議論も,「男は仕事,女は家庭」というジェンダー観を反映していたといえる.最後に,寡婦(寡夫)控除が廃止されたとしても,ひとり親家庭に対する所得保障は依然として必要であり.また「男女の役割の平等」を促進することも重要であると論じた.