著者
姫野 完治
出版者
日本教育方法学会
雑誌
教育方法学研究 : 日本教育方法学会紀要 (ISSN:03859746)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.175-186, 2003-03-31

教師教育を教員養成と現職教育の連続と捉える考え方は,世界的に共通したものとなっている。しかし,わが国では必ずしも連続していない。その背景には,教員養成カリキュラムと教員採用試験が時期的に重なる問題,また,臨時的任用教師の増加によって現職研修を経験しない教師が存在する問題などがある。教師教育を教員養成から現職教育まで連続したものとするためには,その接点をいかに改善するかが大切といえ,その一つの改善策として,教員採用試験の終了後から学校現場に赴任する前までの期間に,採用前研修を取り入れることが考えられる。しかし,これに関する先行研究はほとんど存在していない。そこで本研究では,教員採用試験に合格した学生と,現職教師を対象として,採用前研修のあり方に対する意識調査を実施した。その結果,採用前研修に対して学生と現職教師の双方が望んでいることとして,教師と話す機会,学校現場へ訪問する機会,スキルやテクニックを学ぶ場,学級経営に関して学ぶ場が明らかになり,またその研修は,採用試験の終了後から学校現場へ赴任するまで継続的に実施することが望まれていることがわかった。

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