著者
林 幹人
出版者
桜美林大学
雑誌
桜美林論考. ビジネスマネジメントレビュー (ISSN:21850658)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.33-45, 2010-03
被引用文献数
1

近年、組織内のコミュニケーション手段としてソーシャル・メディアを導入する動きがある。それは、情報通信ネットワーク上で一般の人々が開かれた形で情報を発信したり、その情報の受け手である一般の人々が開かれた形でその情報に応答することを支援する技術である。ここでは、この技術を組織内に導入したものを組織内ソーシャル・メディアと呼ぶが、その導入目的のひとつは、組織内のコミュニケーションを促して知識の共有を図り、ひいてはイノベーションを実現することにある。そこで本研究では、イノベーション・プロセスにおいて組織内ソーシャル・メディアを利用することの意義について検討する。 イノベーション・プロセスにおけるこの技術の重要な意義のひとつは、それが組織内集合知の利用を支援する点にある。組織内集合知とは、組織内の情報通信ネットワーク上において当該組織の不特定のメンバーが相互作用を通じて発揮する何らかの問題解決を可能にする知的能力を意味する。それは、組織内に保有されながらもこれまで十分に利用されてこなかった知的資源であり、イノベーション・プロセス研究においても特に検討されてこなかったものである。この技術は、妥当性が高く多様な機密性を確保しながら知識を低コストで交換することを支援する。 本研究では、組織内ソーシャル・メディアをイノベーションの実現のために利用している企業に対しインタビュー調査を実施した。調査を通じて、この技術が、確かにイノベーション・プロセスにおいて組織内集合知の利用を支援し、イノベーションの実現に寄与しうることが確認された。

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