著者
中崎 茂
出版者
桜美林大学
雑誌
桜美林論考. ビジネスマネジメントレビュー (ISSN:21850658)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.47-62, 2010-03

近年、国内外の多くの観光地域において、社会経済、歴史文化、コミュニティや生態環境等の状況変化に対応しながら、持続的であるとともにライフサイクルに留意した取り組みが希求されている。とくに目先の動向にセンセーショナルに対応することは、環境、コミュニティなどの問題解決に無力であり一過性となることから、観光の中・長期にわたる動向を視野においた行政・企業・地域の役割と取り組み(責任遂行と連携)が、環境、経済、社会面からも重要であることに理解が広がってきている。 本稿は、アジア(中国)における世界遺産の指定地域であり、利用より保全を重視する特異な自然景観や少数民族をアトラクションとする地域:張家界国家森林公園を対象とし、ここにバトラーのライフサイクルを適用した事例研究を手掛かりに、この地域の観光化の展開パターンとその展開の段階における社会、環境、経済面のインパクト(効果・影響)との関連性を考察したものである。この一連の検討を通して、バトラーのサイクル論の汎用性の確認、実態面から観光化の展開パターンとその基本要因の把握、展開の各段階におけるインパクトの差異・特性の理解を深めることができる。今後の観光地域政策において持続性のある観光地域の展開や運営を図る上で、ライフサイクル的な中長期にわたる視座の必要性とその方向性について論究したものである
著者
林 幹人
出版者
桜美林大学
雑誌
桜美林論考. ビジネスマネジメントレビュー (ISSN:21850658)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.33-45, 2010-03
被引用文献数
1

近年、組織内のコミュニケーション手段としてソーシャル・メディアを導入する動きがある。それは、情報通信ネットワーク上で一般の人々が開かれた形で情報を発信したり、その情報の受け手である一般の人々が開かれた形でその情報に応答することを支援する技術である。ここでは、この技術を組織内に導入したものを組織内ソーシャル・メディアと呼ぶが、その導入目的のひとつは、組織内のコミュニケーションを促して知識の共有を図り、ひいてはイノベーションを実現することにある。そこで本研究では、イノベーション・プロセスにおいて組織内ソーシャル・メディアを利用することの意義について検討する。 イノベーション・プロセスにおけるこの技術の重要な意義のひとつは、それが組織内集合知の利用を支援する点にある。組織内集合知とは、組織内の情報通信ネットワーク上において当該組織の不特定のメンバーが相互作用を通じて発揮する何らかの問題解決を可能にする知的能力を意味する。それは、組織内に保有されながらもこれまで十分に利用されてこなかった知的資源であり、イノベーション・プロセス研究においても特に検討されてこなかったものである。この技術は、妥当性が高く多様な機密性を確保しながら知識を低コストで交換することを支援する。 本研究では、組織内ソーシャル・メディアをイノベーションの実現のために利用している企業に対しインタビュー調査を実施した。調査を通じて、この技術が、確かにイノベーション・プロセスにおいて組織内集合知の利用を支援し、イノベーションの実現に寄与しうることが確認された。
著者
藤田 晃
出版者
桜美林大学
雑誌
桜美林論考. ビジネスマネジメントレビュー (ISSN:21850658)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.99-114, 2010-03

Social businesses solve social issues like those of education and welfare by business methods and are now a focus of attention in the world. In the United Kingdom, social businesses were nurtured as social enterprises to solve regional problems in 1997 when Tony Blair was the prime minister.One type of social enterprise is a social firm. The social firms are places of employment for people with disabilities and are managed by using business methods to solve their employment problem.In the United Kingdom, Social Firms UK is founded as intermediate organization to conduct national surveys of social firms and provide consultancy to them. According to the organization, there are about 70 social firms and about 80 emerging social firms in the United Kingdom.These social firms and emerging social firms are highlighted as places of employment for disabled people.In 2008, Social Firms UK selected five social firms with particularly excellent business activities and named them star social firms. In August and September 2009, the author had the occasion of interviewing two star social firms of contrasting sizes. The interview survey to the two star social firms offered several findings conducive to the development of places of employment for disabled people in Japan.