- 著者
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井上 和子
- 出版者
- 神田外語大学
- 雑誌
- Scientific approaches to language (ISSN:13473026)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, pp.49-64, 2010-03
補文標識の中には、主名詞句の内容を表す補文(同格詞句と呼ぶ)を作る「という」「との」とは別に純粋に補文を導入する「と」がある。(i(c))はその例である。(i)-(a) 「昨日太平洋岸に津波があった」というニュース -(b) 「次の会合には出席する」との加藤氏のことば -(c) 議長は「明日の会議は延期する」といった。 -(d) 議長が欠席したことが問題にされた。 -(e) 地震のニュースが一部に伝わらなかった事実が明らかになった。これまでの研究では、補文を名詞化する「こと」「事実」(i(d-e))と「と」を区別するに留まり、「と」に関する詳しい研究は無かった。本論文では、「と」の統語上、意味上の特徴を検討し、これらの分布と機能を説明するのに二種類の「と」を仮定し、その根拠を示す。