著者
伊豆原 月絵
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.49-54, 2011-01-31

筆者は、神戸ファッション美術館との学館協同事業の一つとして、復元研究を行い、細部にわたって計測をした第一次資料を基に、第二次資料および構成図を作り、実物ドレスの制作を行った。 本論文では、18世紀中葉の衣服制作の技術的な変遷を解明するために、制作時期が、およそ10年離れているとされる2体の復元したドレスについて、裁断と縫製などの衣服制作技術について、比較検討を行った。 ドレスは、布地が手織りの織物で作られているため、縫製段階で、「ねじ曲げる」「折り目をずらす」などの工夫がされていた。例えば、腰の膨らみを強調するために、手織りの織物の特性である独特の打ち込みの甘さを用いて、「ねじり」を入れ縫うことにより、元に戻ろうとする糸の力を用いて、布地を押し上げ膨らみをもたせるなどの技術や、織り布を倹約するための「布テープ」によるほつれ止めの手法の発達などがあげられる。ドレスの復元制作の過程から、18世紀中葉の衣服製作の技術の変遷を考察した。

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