著者
宮内 [サトシ]
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.83, pp.43-50, 1991

本稿は,家具の基本形態の一つである櫃を対象に,デザインと技術のかかわりについて検討したものである。その結果,次の諸点を明らかにした。1.時代をさかのぼるほど,選択できる技術の幅が狭く,実現された形態も使い方も限定的で,デザインと技術の結びつきは強い。2.技術の目標とされたものは,大型化,気密化,優美化,堅牢化,防水処理,規格化などである。それらの実現のために板の矧ぎ合わせや接合方法の精妙化,強度の発揮と軽量化,量産性などが追求された。軍用では,化学的・組織的な技術開発が行われた。3.広義のデザインと木工技術とのかかわりは,技術の発展にともなう櫃の普及,生活への浸透があげられる。一方,中国の柩には古い櫃の製作方法が継承されている。4.I960年代の後半から,フォークリフトなどの機械力による荷役を基盤とした陸・海・空一貫の輸送システムが出現する。その結果,人力による運搬を前提とした櫃の開発は終焉する。

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