著者
三橋 俊雄 牧田 和久 宮崎 清 田中 みなみ
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.94, pp.67-74, 1992-11-10

本論文は,新潟県山北町における「地域特質を表現する図像」構築過程の観察を通して,内発的地域作り計画と実践の意義を考察したものである。第1段階として,町内外の人びとが地域に対して抱く心象に関するアンケート調査,町内においてすでに使用されている視覚媒体物の採集,図像のモチーフとなりえる各種地域資源の採集,地域住民からの図像アイデアの募集などを通して,地域特質に関する把握とその表現方策に関する検討を行なった。第2段階では,それらの結果に基づき,地域特質を表現する図像の実体化作業を展開し,地域住民による投票ならびに内外の人びとによる図像評価に基づき,「地域特質を表現する図像」として10点を策定した。第3段階としては,イメージカラーやロゴタイプと組み合わせ,策定された図像の具体的活用に関するマニュアルを作成した。最後に,「地域特質を表現する図像」の構築を内発的に展開する計画・実践は,当該地域の人びとが地域の有する種々の価値を再確認し,共同してそれを維持・発展させていくためのツールとして機能する点において今日的意義があることを指摘した。

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