著者
天貝 義教
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.25-32, 1993
被引用文献数
2

ヨーゼフ・アルバースにとって,素描とは,線から成立した視覚的形成を意味し,その主要な関心は,二次元的な手段によって三次元的な効果を呈示することにあった。それゆえ,アルバースの用語法に従うならば,我々は,素描において,線と線との間を我々に読み取らせるような線の観察と分節を学ぶこととなるのである。アルバースは自らの素描観を,バウハウス,ブラック・マウンテン・カレッジ,イェール大学デザイン学部における素描教育を通じて明確にしてゆくが,一方その教育活動と並行して多数の線の構成を試みており,1942年には『図的構築』の連作を完成させ,『構造の星座』の連作は1950年代初期にその制作が始められた。本稿の目的は,アルバースの素描教育の変遷過程を跡づけるとともに,その素描教育の内容とこれら線の構成による連作との関係を考察することにある。

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