- 著者
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床次 眞司
- 出版者
- 人間-生活環境系学会
- 雑誌
- 人間と生活環境 (ISSN:13407694)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.2, pp.57-62, 2002-11
人間が自然放射線から受けるとされる被ばくは,地球上では永久に続くものであり避けることはできない。この被ばくは,多くの人々にとって人工の放射線源からの被ばくを越える場合がある。とりわけ,人間にとって自然放射線源による被ばくのうち,最も寄与が大きいものはラドンとその子孫核種の吸入による内部被ばくである。本稿では電離放射線による生体への影響とその防護について,自然放射線による被ばくの実態を交えながら解説する。居住環境でもラドン子孫核種の吸入によって肺がんが発生する可能性が指摘されているが,低線量放射線による影響,すなわち線量と影響との定量的な関係は未解明のままである。放射線による生体への影響に対する正しい理解のため,さらなる研究が必要とされる。