著者
伊坂 善明 宮川 鮎子 飛田 国人 松原 斎樹 宗田 好史
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.41-49, 2013 (Released:2018-03-22)
参考文献数
14

長岡京市の公立学校3校を対象として,普通教室にエアコンが導入された2008年から猛暑の2010年までの3ヵ年にわたってエアコン導入による温熱環境面及び教育面・健康面,環境面での効果について評価した。その結果,空調教室の室温は,3年間通じて夏は30℃以下が望ましく,最も学習に望ましい条件は25〜28℃程度とする文部科学省の「学校環境衛生の基準」の範囲内であったが,エアコンの入っていない教室は,基準を満たしておらず,エアコン無しでは過酷な環境にあったといえる。児童・生徒のエアコン導入の評価は,3年間通じて高い結果であった。一方,教員は3年間通じて教育面の効果が顕著に表れていると評価し,健康面でも一定の効果が出ていると評価された。しかし,28℃での設定温度には問題があることを指摘している。環境面では,エアコン導入が環境教育につながると捉える教員は少ない結果であったが,エアコンの使い方によってエネルギー消費量が異なることなどの具体的な情報を提供していくことで,環境教育を行っていく必要がある。
著者
伊坂 善明 宮川 鮎子 飛田 国人 松原 斎樹 宗田 好史
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.41-49, 2013
参考文献数
14

長岡京市の公立学校3校を対象として,普通教室にエアコンが導入された2008年から猛暑の2010年までの3ヵ年にわたってエアコン導入による温熱環境面及び教育面・健康面,環境面での効果について評価した。その結果,空調教室の室温は,3年間通じて夏は30℃以下が望ましく,最も学習に望ましい条件は25〜28℃程度とする文部科学省の「学校環境衛生の基準」の範囲内であったが,エアコンの入っていない教室は,基準を満たしておらず,エアコン無しでは過酷な環境にあったといえる。児童・生徒のエアコン導入の評価は,3年間通じて高い結果であった。一方,教員は3年間通じて教育面の効果が顕著に表れていると評価し,健康面でも一定の効果が出ていると評価された。しかし,28℃での設定温度には問題があることを指摘している。環境面では,エアコン導入が環境教育につながると捉える教員は少ない結果であったが,エアコンの使い方によってエネルギー消費量が異なることなどの具体的な情報を提供していくことで,環境教育を行っていく必要がある。
著者
久保 博子 磯田 憲生 梁瀬 度子
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.51-57, 1994-06
被引用文献数
5

着衣量,温冷感,快適感の季節的変化を一年を通して,実験的に検討した。実験は人工気候室で行った。実験条件は,気温は,16℃,20℃,24℃,28℃,32℃の5段階,相対湿度は50%一定,気流は静穏気流,平均放射温度は気温と等しくした。被験者は,健康な青年女子71名を採用し,通常の着衣で椅座安静状態で60分間実験条件に暴露し,着衣量は実験後算出した。温冷感申告を9段階で,快適感申告を7段階で受けた。実験は1986年10月から翌年の8月にかけて7期行った。その結果,以下のことが明らかになった。1)被験者の着用していた平均着衣は冬期は0.84clo,夏期は0.4cloであった。2)温熱的中性申告の得られた温度は冬期には22℃で夏期には28℃であった。3)快適側の申告した時の温度は冬期は20℃〜28℃,夏期は22℃〜30℃で,その時冬期は「暖かい」と申告し,夏期は「涼しい」と申告した。
著者
小川 徳雄
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.2-7, 1996 (Released:2018-03-22)
参考文献数
48
被引用文献数
4

第2部では,体温調節の性差とその機能の加齢の影響を述べる。体温の性差はないとされるが,正確な測定結果はない。女子では,体温の性周期変動があり,二次化学調節がみられ,男子より代謝量が少なく,皮下脂肪が厚いことなどが熱出納の性差をもたらすとみられる。また女子では発汗が少ないが,汗腺機能も劣る。女子は皮膚の断熱性に優れ,耐寒性が強く,寒冷暴露時の代謝量の増加は少ない。暑熱順化時の発汗活動の増加度は男子の方が大きい。加齢とともに体温は低下傾向を示し,その日周変動幅が狭くなる。高齢者では,温度受容及び温度感覚,求心性・遠心性の神経機能,効果器機能が鈍り,皮膚血流・発汗・ふるえの反応が遅くなるが,個人差が大きい。暑熱・寒冷適応能は加齢とともに,とくに男子で低下する。
著者
川島 庸 垣鍔 直
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.17-23, 2004-05
被引用文献数
4

本研究は,冷房条件が夏期の睡眠に及ぼす影響を心理・生理反応から評価した。実験は,足利工業大学に設置された人工気候室内で2001年〜2002年の夏に実施し,各々4名の健康な若年男子を被験者とした。2001年の実験における冷房条件は,パターン1:入眠後2時間のみ26℃に冷房し,その後30℃で一定,パターン2:睡眠中28℃で一定,パターン3:30℃で一定とした。2002年の実験では,室温を28℃と一定にし,湿度を40%,60%,80%に制御した。睡眠中の脳波,心電,直腸温,皮膚温を連続して記録し,睡眠中の体重減少量も測定した。また,起床直後にOSA睡眠調査票により主観申告を得た。その結果から,室温を28℃で一定とし,入眠初期時は40%,その後は60%で制御する温熱条件が最適であることが示唆された。
著者
山岸 明浩 奥原 由真
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.49-57, 2016 (Released:2018-01-10)
参考文献数
8
被引用文献数
3

本研究では,松本市内の小学校を対象に,教室内の掲示物の実態と掲示物に対する児童の意識について検討した。調査の結果,1教室当たりの平均で38件の掲示がなされており,掲示の種類については生活面の掲示物が71%と多くなっていた。掲示位置と掲示内容の関係については,生活面の掲示では教室の前側には「目標」や「決まり事」の掲示が多く,教室の後側には,「取り組み」や「メッセージ」の掲示が多くなっていた。学習面の掲示では,教室の前側には「学習の心がけ」,後側には「学習の作品」,窓側・廊下側には「学習の振り返り」が多く掲示されていた。学年による違いについては,掲示物の件数は低学年で多い傾向となり,内容は高学年になると生活面の掲示物の割合が多くなった。掲示物と児童の意識の関係については,掲示物の種類が児童の意識に強く影響しており,「予定」や「取り組み」,「学習の作品」の認知の度合いが高い結果となった。
著者
渡邊 慎一 石井 智也 石井 仁 岩井 将行
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.21-27, 2023 (Released:2023-09-28)
参考文献数
16

本研究は、雪洞「かまくら」内の温熱・空気・紫外線環境を明らかにすることを目的とする。測定は、2019年2月12日に岐阜県高山市において実施した。屋外および「かまくら」内において、気温、相対湿度、気流、長短波放射量、CO2濃度、UV Indexを測定した。測定日の昼間(9:30〜16:00)において、屋外の平均気温は2.2℃であり、「かまくら①(出入口が1ヶ所)」および「かまくら②(出入口が2ヶ所)」の平均気温はそれぞれ0.4℃および−1.1℃であった。UTCIの平均値は、屋外が20.4℃、「かまくら①」が2.2℃、「かまくら②」が1.8℃であった。「かまくら」内のCO2濃度は、炭の燃焼や人体の呼気によって上昇した。昼間の屋外におけるUV Indexの最大値は4.61であり、紫外線の強さは「中程度」と評価された。一方、「かまくら」内では最大でも0.05であり、紫外線強度は極めて小さかった。
著者
小川 徳雄
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.2-7, 1996-12
被引用文献数
1

第2部では,体温調節の性差とその機能の加齢の影響を述べる。体温の性差はないとされるが,正確な測定結果はない。女子では,体温の性周期変動があり,二次化学調節がみられ,男子より代謝量が少なく,皮下脂肪が厚いことなどが熱出納の性差をもたらすとみられる。また女子では発汗が少ないが,汗腺機能も劣る。女子は皮膚の断熱性に優れ,耐寒性が強く,寒冷暴露時の代謝量の増加は少ない。暑熱順化時の発汗活動の増加度は男子の方が大きい。加齢とともに体温は低下傾向を示し,その日周変動幅が狭くなる。高齢者では,温度受容及び温度感覚,求心性・遠心性の神経機能,効果器機能が鈍り,皮膚血流・発汗・ふるえの反応が遅くなるが,個人差が大きい。暑熱・寒冷適応能は加齢とともに,とくに男子で低下する。
著者
深澤 伸一 下村 義弘
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1-10, 2017 (Released:2018-03-22)
参考文献数
16

優れた通知機能の設計要件を明らかにするために、周辺視野への視覚的な動きと報知音の提示が、気づきやすさと中心視野における知的作業の集中性および両者の関係性と意味伝達の容易性に及ぼす影響について、複数の計測指標により総合的に検討を行った。正面のメインディスプレイ上で暗算作業中の実験参加者に対し、「瞬時」「透出」「拡大」の3種類の動き様態がそれぞれ付与された文字刺激を周辺視野領域に設置されたサブディスプレイ上に表示し、さらに半数の条件では報知音を併せて提示して、心理指標と行動指標により評価した。その結果、報知音提示がない条件では気づきやすさと中心視野での作業集中性に有意な正の相関関係が認められ、気づきやすさ、作業集中性、意味伝達の容易性のすべてで拡大表現が有意に最も優れた値を示した。一方、報知音提示を伴う条件では、気づきやすさが全体的に高くなるものの拡大表現において注意喚起効果の加算的作用による過剰化が要因と考えられる作業集中性の有意な低減が発生し、動きをもった通知への報知音の併用は適用状況を考慮する必要があることが示唆された。
著者
高崎 裕治 永井 由美子 井上 馨 真木 誠 大中 忠勝 栃原 裕
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.99-106, 2011-11
被引用文献数
3

冬季における高年者の入浴習慣について,札幌,秋田,大阪,福岡の4地域における特徴を比較し,入浴事故死亡率の地域差に関連する要因を検討するため,質問紙による調査を実施した.高年者の半数以上は何らかの治療を受けており,特に高血圧症の治療を受けている者がいずれの地域においても最も多かった.札幌より大阪や福岡の高年者の方が冬季の浴室を寒いと感じていた.暖房器具として,脱衣場所ではストーブがよく使用され,浴室では暖房乾燥機が専用のものとして使用されていた.脱衣場所や浴室に暖房器具を設置していない者は,その必要性を感じていなかった.ロジスティック回帰分析を行うと,入浴事故死亡率が低い札幌での冬季の入浴習慣として,入浴回数が少なく,浴室への滞在時間や浴槽に浸かる時間が短く,入浴中はあまり寒さを感じていないという傾向が示された.同様な入浴習慣を形成できれば,致命的な入浴事故を防ぐために有効と思われる.
著者
野中 麻由 戸渡(上野) 智子 大中 忠勝
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.91-97, 2009-11
参考文献数
17
被引用文献数
1

被験者は21〜24歳の健康な女子学生18名とし、夏期と冬期に上下温度差がある温熱環境(上方が暖かく、下方が涼しい状態)に曝露した。平均皮膚温が温熱的中性域(33℃〜34℃)に保たれる条件で、中立的な温冷感、快適感が得られる「平均皮膚温と身体各部位の皮膚温の差」の範囲を検討した。夏期において中立的な温冷感、快適感が得られる平均皮膚温と身体各部位の皮膚温の差はそれぞれ2.3℃、2.7℃以内となった。同様に、冬期において中立的な温冷感、快適感が得られる平均皮膚温と身体各部位の皮膚温の差はそれぞれ3.1℃、3.2℃以内となった。また、冬期よりも夏期の方が、皮膚温の分布が小さくても寒さや不快感を訴える傾向にあった。
著者
福永 聖子 片山 徹也 庄山 茂子
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.25-34, 2014-05

同一の料理工程画面を用いて、異なるフォントや配置のテロップを作成し、女子大生を対象に可読性やおいしさ感にどのような違いがみられるか検討した。料理名と材料名のテロップを5種類のフォントで組み合わせた25画面の印象では、「可読性」ではゴシック体、「料理に調和している」では行書体と楷書体の画面の評価が高かった。料理画面に「最もふさわしいフォント」では楷書体が選ばれた。このことから、可読性より和食の料理に調和するフォントが重視されたことが明らかとなった。さらに、楷書体を用いて、料理名と材料名の配置を変えた32画面の印象評価では、料理画面に「最もふさわしいテロップの配置」は、左上に料理名、右下に材料名であった。テレビ番組のテロップにおいては、視聴者の視線が左上から右下へ移動していると考えられた。また、テロップを黙読し終える平均時間には32画面間に有意差はみられなかった。
著者
床次 眞司
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.57-62, 2002-11

人間が自然放射線から受けるとされる被ばくは,地球上では永久に続くものであり避けることはできない。この被ばくは,多くの人々にとって人工の放射線源からの被ばくを越える場合がある。とりわけ,人間にとって自然放射線源による被ばくのうち,最も寄与が大きいものはラドンとその子孫核種の吸入による内部被ばくである。本稿では電離放射線による生体への影響とその防護について,自然放射線による被ばくの実態を交えながら解説する。居住環境でもラドン子孫核種の吸入によって肺がんが発生する可能性が指摘されているが,低線量放射線による影響,すなわち線量と影響との定量的な関係は未解明のままである。放射線による生体への影響に対する正しい理解のため,さらなる研究が必要とされる。
著者
長谷 博子 光田 恵
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.35-43, 2012 (Released:2018-03-22)
参考文献数
23

本研究では,室内の温湿度がにおいに対する嗅覚閾値,臭気強度と快・不快度に及ぼす影響を官能評価により検討することを目的とした.パネルは,若年者の男性7名を対象とした.におい物質は,スカトール,イソ吉草酸,β-フェニルエチルアルコールを用いた.測定項目は,嗅覚閾値,臭気強度と快・不快度とした.嗅覚閾値は,におい物質間や温湿度条件間において,有意な差は認められなかった.スカトールは,嗅覚閾値の平均が最も低く,標準偏差も小さかった.臭気強度と快・不快度は同様の頃向を示し,快適条件(25℃, 50%)が他の3条件に比べて,におい物質ごとに感じ方が異なることが明らかとなった.冬季条件(22℃,20%)は,におい物質が異なっても感じ方への影響が少ないことが示された.イソ吉草酸は他の2物質よりも温湿度条件の影響を受けることが示された.β-フェニルエチルアルコールとスカトールは温湿度条件の影響を受けにくいことが明らかとなった.
著者
中村 泰人 平川 真由美 香川 治美
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.69-74, 2003
参考文献数
11

夏季の室温28℃への引き上げを実現するため、「袖なし通風ジャケット」(エコジャケツト)が開発された。これは、耐暑性に配慮して脇口が縦に大きく開いて風通しをよくし、品格を保つために襟がついたジャケットである。検討の結果、ファッションとしても十分、評価に耐えるものであることがわかった。つぎに、耐暑性の表現を与えるため、人工気候室を用いて熱負荷実験を行った。結果を基に発汗量、皮膚温などについて増加率を定義し、耐暑性能を評価した。その結果、「袖なし通風ジャケット」は通常のジャケットより1.5倍、耐暑性が優れていることがわかった。
著者
吉田 郁美 竹森 利和 山崎 政人 道広 和美 都築 和代 裏出 良博 吉田 政樹
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.101-106, 2012-11

ミストサウナ入浴が睡眠に与える影響を把握することを目的に、冬季の実生活において被験者実験を実施した。実験は、被験者の自宅において就寝約1.5時間前に40℃10分間の通常入浴とミストサウナ入浴をそれぞれ10日間ずつ連続して実施した。浴室の設定温度、寝室の温湿度ならびに入浴前後の舌下温を10日間測定・記録した。また、1日の活動量(活動量計)、夜間就寝時の脳波(携帯型1チャンネル脳波計)を計測し、睡眠後の眠気(KSS調査票)や温冷感、目覚めの感覚等を記録した。睡眠効率、入眠潜時、および覚醒指数については条件間に有意な差はなかったが、第一周期デルタパワーについてはミストサウナ入浴の方が通常入浴よりも有意に高かった。入浴による舌下温の上昇度についても通常入浴よりミストサウナ入浴の方が有意に高かった。寝室温・湿度に両条件間の差は無かったが、被験者の申告結果からは、ミストサウナ入浴の場合、就床前はより暖かく感じ、起床時には目覚めの爽央感が得られるとの評価が有意に高かった。
著者
庄山 茂子 加來 卯子 栃原 裕
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.57-64, 2010-11

男性漁業従事者219名を対象に、紫外線に対する意識や対策ならびに紫外線対策としてのサングラス装着について調査を行った。世代別に分析し、次のような結果を得た。(1)年齢の異なる4群間で紫外線に対する意識や対策に有意差は認められなかった。4群ともに紫外線に対する意識は比較的高かった。(2)紫外線対策の実施状況は35歳〜49歳は約23%で、その他の群は約30%であった。具体的な対策の内容は、「帽子をかぶっている」、「長袖の服または長ズボンを着用している」であった。(3)サングラスの装着率は、50〜64歳は33.3%、その他の群は約25%であった。常時メガネを使用する者の方がサングラスを装着していた。(4)サングラス装着に対する抵抗感は、年齢が高いほど高く、65〜83歳では約50%であった。抵抗感のある理由としては、「視界がせまくなったようで作業がしにくいから」、「サングラスを着けると、周りの色が正しく見えにくいから」が多かった。(5)65〜83歳の21.7%は、白内障の眼疾患をもち、そのうち80%はサングラスを使用していなかった。
著者
高崎 裕治 大中 忠勝 栃原 裕 永井 由美子 伊藤 宏充 吉竹 史郎
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.29-34, 2006-05
被引用文献数
4

浴槽死亡事故の地域差に影響する因子を検討するにあたり,本研究の目的は日本の各地域における入浴実態を比較してその差異を明かにすることである.質問紙による調査を全国11の地域(札幌,秋田,仙台,北千葉,南千葉,静岡,富山,大阪,広島,福岡,鹿児島)で実施した.各地域で約30戸の戸建て住宅を対象に,質問紙を夏と冬の2回配付した.建築後の経過年数,住宅の設備や温冷感,入浴行為等について質問を行った.その結果,以下のような入浴実態やその地域差が認められた.すなわち,保温性や断熱性という観点からは比較的新しい住宅や北日本の住宅が優れていること,予期に反して冬期に南日本の人たちの方が北日本の人たちよりも浴室を寒く感じていることなどである.また,入浴頻度,時間や最初に入力する人にも地域差が見られた.各地域の入浴実態と浴槽事故死亡率には関連がありそうであるが,さらに検討が必要である.