著者
坂井 健
出版者
佛教大学
雑誌
京都語文 (ISSN:13424254)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.132-150, 2010-11-27

『小僧の神様』で、小僧が最初に入った屋台は、当時の最新のヒット商品鮪のトロを売り出した有名店であり、鮪一貫六銭という値段は、当時としても、かなり高い値段設定であった。それでも、小僧が執着したのは、番頭という身分への憧れがあったからなのだ。小僧がご馳走になった方の鮨屋は、古いタイプの江戸前鮨を出す店で、小僧は醤油をつけなくてもよいように調理された、盛り込みの大皿の鮨を座敷で箸を使って食べたのである。

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