- 著者
-
原 清治
- 出版者
- 佛教大学
- 雑誌
- 教育学部論集 (ISSN:09163875)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, pp.133-152, 2011-03-01
現在、子どもたちのなかでケータイ電話を介したネットいじめの問題が深刻化している。こうした事態に対処するため、2008年6月に18歳未満の青少年がケータイを利用する場合には、保護者からの申し出がある場合を除いてフィルタリングを適用することを各ケータイ電話会社に対して義務付ける「青少年ネット規制法」が成立した。しかし、フィルタリングの導入はネットいじめの「万能薬」とは言いがたく、子どもたちを守る本質的な取り組みが喫緊の課題となっている。 本研究では、京都府および京都市教育委員会の協力を得て、市内に在住する小学生の児童とその保護者に対するアンケート調査を実施し、子どもたちのネットいじめの実態を精緻に分析するとともに、その元凶ともいわれるケータイ電話利用に関する意識調査も同時に実施した。 結果として、ネットいじめの被害に遭う子どもたちはケータイの使用時間やメールの送受信回数が多い「ネット依存」がみられるだけでなく、学年の進行にしたがって学力が「上昇移動」した子どもに多い傾向であることが明らかとなった。