著者
Nakahira Satomi Yashima Tomoko Maekawa Yoko
出版者
大学英語教育学会関西支部
雑誌
JACET関西紀要 (ISSN:18802281)
巻号頁・発行日
no.12, pp.44-55, 2010

本研究は、英語を専攻としていない日本人短期大学生163名を対象として、動機づけ、心理的欲求、外国語での自発的にコミュニケーションを図る意思(八島,2009)(FL WTC)、英語力の認識(Can-Do statements[STEP])の関係を明らかにすることを目的としている。具体的には、自己決定理論を動機づけの枠組みとして用い、1)内発的動機づけの保持に最も影響を与えている心理的欲求を明らかにし、2)高いFLWTCを持つことと内発的動機づけとの関わりを探る。更に、3)英語力の認識(Can-Do statements)と高い内発的動機づけの保持との関わりについても示していく。調査の結果、1)心理的欲求の中でも特に有能性の欲求が満たされることが、最も内発的動機づけに影響する要因であることが明らかとなり、更に2)高いFL WTCを持つ学習者は特に自己決定度の高い外発動機づけと関係を持つことが分かった。最後に、3)自己の英語力に対して肯定的な認識を持つ学習者は、高い内発動機づけを保持することが示された。このことから、授業内で「出来る」と感じることが内発動機づけの高まりを助け、更に自発的に英語でコミュニケーションを図る意思を保持することは、自己決定度の高い外発的な動機づけとなることが示唆された。一方、肯定的な英語力の認識は内発的動機づけと最も強い関係を持つことからも、教育の場においてコミュニケーションの意思を高める働きかけのみではなく、実際に英語を使用する場面を増やすなどし、学習者が自身の英語力に肯定的な認識を保持する機会を設けることが重要であると考えられた。

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