著者
大島 浩英
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学論集 (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.29-42, 2010

Georg Wickramの滑稽話集Das Rollwagenbuchlin(1555)(『車中つれづれ話』)に収められたSchwank"Wie ein schneyder in himmel kumpt und unsers herrgotts fussschamel nach einer alten frauwen harabwirfft".(「一人の仕立屋が天国へとやって来て、神様の足台を老婆めがけて投げ下ろした話」)を下敷きにして、グリム兄弟はKinder- und Hausmarchen(1857)(『子供と家庭の昔話』)の中で"Der Schneider im Himmel"(KHM 35)(「天国の仕立屋」)というメルヒェンを再話した。本論考ではヴィクラムの原文、現代語訳、グリムの再話をそれぞれ比較することによって、初期新高ドイツ語から現代語へと移行する際の音変化、中世高地ドイツ語の影響、書記法の揺れ、不安定な語順と時制表現などが明らかとなり、そしてグリムが再話する際には、登場人物に対してヴィクラムにはなかった独特の性格付けを行いこの話に笑い話的な印象を与えていること、また具体的で詳しい描写や慣用句が増えたことで、本来の口伝えの文体から離れていく様子などが明らかとなった。

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