著者
吉田 博
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 : mushroom science and biotechnology (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.157-163, 2004-12-25
被引用文献数
5

菌床栽培ハナビラタケ子実体の発育過程(子実体原基,幼子実体,成熟子実体)における化学成分(一般成分,無機成分,低分子炭水化物,有機酸,遊離アミノ酸)の変化について検討し,以下の結果を得た.発育過程における水分含量は86.1〜87.8%であり,顕著な含量変動はなかった.乾燥重量当たり,粗タンパク質は13.4〜33.2%,粗脂肪は1.4〜1.7%,粗灰分は2.8〜3.2%,炭水化物は61.9〜82.4%であり,発育にともない炭水化物は増加し,粗タンパク質,粗脂肪,粗灰分は減少した.無機成分含量は,1.45〜1.69%であり,子実体原基から幼子実体にかけて減少し,成熟子実体で増加した.主成分はカリウムで,ついでリン,マグネシウム,カルシウム,ナトリウムであった.低分子炭水化物含量は,6.2〜15.4%であり,トレハロース,マンニトール,グルコース,フルクトース,アラビトールが同定された.主成分はトレハロースとマンニトールであり,発育にともないトレハロースとマンニトール含量は増加した.有機酸含量は,2.6〜3.7%であり,発育にともない減少した.リンゴ酸,クエン酸,フマル酸,ピログルタミン酸,コハク酸,シュウ酸,乳酸,α-ケトグルタル酸,酢酸およびギ酸が検出され,主成分はリンゴ酸,クエン酸,フマル酸,ピログルタミン酸およびコハク酸であった.遊離アミノ酸含量は,0.49〜1.07%であり,発育にともない減少した.主成分はグルタミン酸,アスパラギン,アスパラギン酸,チロシン,アルギニン,アラニンおよびセリンであった.

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