著者
丸山 貴司 中川 匡弘
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.97-104, 2011-07-31
被引用文献数
2

近年,ヒトの生体信号を解析することで感性の定量的評価を試みる研究が取り組まれている.中でも,ヒトの感情は脳の活動と密接に関係していると考えられ,脳波を解析することで感情の定量化を試みる手法として,感性スペクトル解析手法(ESAM),感性フラクタル次元解析手法(EFAM)が提案されている.本研究では,脳波のフラクタル次元を特徴量として感性の定量化を行うEFAMの拡張として,脳波のマルチフラクタル次元を用いた感性解析を試み,既存技術であるESAM,EFAMとの比較を行った.具体的には,被験者16名に対し,「喜怒哀楽」の基本4感性について想起の持続性・再現性の実験を実施した.その結果,提案手法はEFAMに比べ,学習誤差等は増加し,一つひとつの感性の認識率は低減するが,4つ全ての感性が偏り少なく認識できることが確認できた.マルチフラクタル次元を特徴量として用いることにより,感性に寄与している特徴を適切に抽出でき,認識可能な感性の偏りが低減されたものと考えられる.また,学習に用いる時系列データのばらつきを抑えることで,認識率が向上する可能性が示唆された.

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