著者
矢島 伸男
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.18, pp.41-49, 2011-07-23

本稿は、笑いによる学校教育の諸問題解決の一つとして、ユーモアを感じ取る能力の必要性を論じた上で、"ユーモア・センス"を定義した。さらにそれらを"発見力""構成力""表現力""判断力"の4領域に分類し、とりわけ"判断力"は、笑いを伝達する上での最終調整の役割を果たすため、最も優先されるべき能力であるとした。しかし、"判断力"は心理的余裕が失われることで鈍くなる性質があり、教師の精神的なゆとりを確保するために、どのような「心の持ちよう」を維持するかが重要であると考えた。寄席芸能から現在に至るまで、日本では舞台上での演者の"素"をむしろ歓迎し、観客と演者との間で笑いを共有しようという文化的潮流がある。ここに、自分の"素"からにじみ出るユーモアを受け入れ、心地よい笑いへと変換させる"笑われ力"という概念を掛け合わせ、教師の心理的負荷の軽減を模索し、具体的な個人レベルでの実践を模索するものである。

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