- 著者
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酒井 秀夫
笠原 直人
清水 裕子
- 出版者
- 森林利用学会
- 雑誌
- 森林利用学会誌 (ISSN:13423134)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, no.2, pp.85-96, 1996-08-15
- 参考文献数
- 12
- 被引用文献数
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暑熱環境下において,身体を積極的に冷やして体温上昇を抑制することによって生理的負担の軽減を図る方策として,吸水繊維に冷水を含ませる水冷ベストの冷却効果と有用性について検討を行った。ベスト着用により衣内の相対湿度は高くなったが,強制的に衣内温度を抑えることができ,太陽の輻射熱を遮り,冷却効果は30〜40分持続していた。ベストの下にシャツ1枚着用しても,十分な冷却効果が得られ,着用した衣服によって着用感を向上させることもできた。ベスト着用により作業時および休息時の心拍数の低下が認められた。ベスト着用により体熱放散の必要性が弱くなり,末梢の血管が収縮し,皮膚表面への血流量が減少し,生理的負担が軽くなったものと考えられる。日本産業衛生学会の修正実効温度による許容温度条件をもとに暑熱環境の評価を行った。わが国の夏の気象条件では,容易に許容基準を超えてしまうことが予測され,水冷ベストを処方することは有効と思われる。とくに初心者や,夏季当初,休み明けなどの暑熱未馴化の時期に効果が期待される。