- 著者
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竹内 晋平
- 出版者
- 佛教大学
- 雑誌
- 教育学部論集 (ISSN:09163875)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, pp.9-17, 2012-03-01
本邦で行われた調査によると、スポーツや音楽と比較して成人の日常生活に美術の存在が希薄となる傾向を読み取ることができる。この結果は、社会に対する美術科教育の意義を考えさせられるものであると言える。本研究は、美術科教育において生涯美術の素地として育てておくべきファクターについて検討するとともに、授業実践を通して児童が体得できた感覚を明らかにすることを目的としている。 現職教員を対象とした図画工作科に関する教職的資質についての質問紙調査の結果からは作品の完成度を高める指導の必要性を求める声が浮かび上がってくる。しかし、本稿においては"絵の上手なえがき方"の指導ではなく、"絵をえがく時の感覚"を体得できる指導を重視するという立場をとった。このような考え方に基づいた水墨表現を取り入れた図画工作科授業実践を行った。ゲストティーチャーによる教授場面の発話記録を分析したところ、6年生児童は「感覚の意識化」「感覚の把握」「感覚の体得」という3つの段階を経て、生涯美術の素地としての感覚を体得する傾向があることが明らかとなった。