著者
岩佐 安
出版者
日本ペドロジー学会
雑誌
ペドロジスト (ISSN:00314064)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.14-24, 2018-06-30

本土壌はカンボディアに広くみられる砂質沖積土壌と呼ばれる地域内にみられるものである。土壌母材は中生代の砂岩に由来しており,主に石英砂からなっている。本土壌の分布している地域の気候はカンボディアでもっとも高温で雨量の少ない地域に属している。本土壌は黄橙色をしめす砂質な腐植集積のきわめて少ない土壌で断面全体に斑紋およびpisolite concretions ("buck-shot")がみられ,下層にはplinthiteがみられる。pH(水)はB_<2g>, B_3C_g層を除き低い値をしめし,塩基状態も劣悪である。Al_2O_3やFe_2O_3の表層から下層への移動も弱度ではあるがみられる。一次鉱物は,主として石英からなり,有色鉱物はほとんどみられない。粘土鉱物は,カオリン鉱物が主なものであり,それにバーミキュライト,雲母鉱物,バーミキュライト/雲母鉱物,モンモリロナイト,クロライト(?)からなっている。本土壌はpolygenetic soilsであり,地下水ラテライト性土壌とRed-yellow podzolic soilsの諸特徴を兼ねそなえたregosolicな土壌である。なお,本報告をまとめるに当って,論議・検討に応じて下さった農林省農業技術研究所三土正則・渡辺裕両博士に感謝の意を表しておきたい。〔本土壌の現地調査は1969年8月農林省東北農業試験場山下鏡一氏とともに実施したものである。同氏に対しここに感謝の意を表しておきたい〕。

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