- 著者
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佐藤 博樹
- 出版者
- 関西社会学会
- 雑誌
- フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
- 巻号頁・発行日
- no.11, pp.103-112, 2012-05-26
データアーカイブの基本的な機能はマイクロデータを収集、整理、保存、提供することにある。それ以上に重要な機能は、社会科学におけるマイクロデータに基づく実証研究の「再現性」を担保する研究環境を提供することにある。日本では、毎年数多くの社会調査が研究者だけでなく、新聞社や政府など様々な機関で実施されており、調査大国とも言われる。しかし、調査データに基づく研究論文や報告書が刊行された後に、収集された調査データは保存されることなく散逸する場合が少なくなかった。その背景には、マイクロデータを収集、整理、保存し、それを再分析を希望する利用者に提供する組織が存在しなかったことがある。本稿では、マイクロデータを保存し、かつ再分析を希望する利用者にマイクロデータを提供することの社会的な意義とマイクロデータの収集、整理、保存、提供の作業を行うデータアーカイブの役割について説明するとともに、東京大学社会科学研究所の社会調査・データアーカイブ研究センターが運営するSSJデータアーカイブの現状と課題について紹介する。