著者
高田 明子 佐藤 久夫
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.94-107, 2012

地域で生活する視覚障害者の社会参加の促進を目的に,ある地方都市の視覚障害による身体障害者手帳取得全数(201人)に郵送アンケート調査を実施した(有効回答49.3%).結果は,視覚障害の程度にかかわらず「危険な外出」状況が70.4%あり,33.7%は転倒・衝突によるけがを経験していた.「閉じこもり」者は42.4%であり,年間を通してほとんど外出していない者が21.2%いた.「閉じこもり」には障害等級,移動能力,外出形態が強く関連していた.多くの視覚障害者は「危険な外出」を繰り返し,視機能が重度に低下した場合「閉じこもり」生活へと移行していた.「閉じこもり」者の59.5%は精神的健康が低かった.視覚障害者の8割は中途視覚障害であったが,福祉サービスの対象になることは少なくそのニーズは潜在していた.家族介助も安全な外出への促進因子というわけではなかった.地域における視覚障害者への外出支援の必要性が示唆された.

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