著者
伊藤 嘉余子 石垣 文
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.3-13, 2013-05-31 (Released:2018-07-20)
被引用文献数
1

本研究では,小規模ケアユニットの独立性と職員間の連携や情報共有に対する満足度との関連性に焦点をあてて,児童養護施設小規模ケア下における職員間の連携の実態と課題について明らかにすることを目的として,児童養護施設職員を対象に質問紙調査を実施した.分析の結果,以下の3つの必要性が示唆された.(1)職員間の情報共有内容や意識の標準化を図るための記録様式の統一,(2)職員間の良好な人間関係構築,(3)スーパービジョンを含めたユニットケア担当職員への具体的な支援体制の確立.
著者
川元 克秀
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.62-82, 1999-01-20 (Released:2018-07-20)

The purpose of this study is to examine a cross-validity and a reliability of a measurement of "SEKENTEI" for factor analysis of social welfare services. "SEKENTEI" is the level of a person's self-consciousness of others observing one's behavior and endeavoring to meet the perceived norms of behavior. Data used in this study were obtained from 3 types of the populations, the first one was elderly people who participate in educational services, the second one was person attending a class of home-helper, the third one was primary family caregiver. The "SEKENTEI" Index was examined on an immutability of the factor structure and a test-retest reliability. A factor analysis, coefficient Al fa and correlation coefficient was used in this analysis. The results were as follows : 1) On this study, there were 3 cases of the factor structure in the "SEKENTEI" Index. That was 3 factor structure, 4 factor structure and 5 factor structure (eigin value>1.0). 2) The "SEKENTEI" Index of This study was similar to previous studies on the character concerning factor loading of the 12 items. 3) The coefficient Al fa of the "SEKENTEI" Index were approving level (.71〜.77) on this study. 4) On test-retest reliability, the reliability coefficient of the "SEKENTEI" Index were not high level one. By these result, it was suggested that the "SEKENTEI" Index did not have a high level cross-validity and a high level a reliability. Based on these results, it appears that the "SEKENTEI" Index will be a sound measurement of "SEKENTEI", if it is partly revised.
著者
角崎 洋平 村上 慎司
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.119-131, 2016-08-31 (Released:2019-02-15)
参考文献数
10

2002年以降日本において,生活福祉資金貸付版のリバースモーゲージ制度が実施されているが,その運用実態は解明されていない.本稿の目的は,このリバースモーゲージ制度の運用実態を実証的に把握し,その問題点を確認するものである.調査は,全国47都道府県の社会福祉協議会に対して郵送された自記式調査票に基づいて実施した.33都道府県の社会福祉協議会から回答を得た.本調査結果を通じて,(1)要保護世帯向けリバースモーゲージの今後の債権回収が懸念されること,(2)債権回収に際して競売を避けるために相続人の任意の協力に依存せざるをえなくなっていること,(3)借受人の同居遺族の居住福祉にネガティブな影響を与えていること,(4)社会福祉協議会と福祉事務所の連携が不十分であることが明らかになった.
著者
三輪 清子
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.1-13, 2016-02-29 (Released:2018-07-20)
被引用文献数
1

日本では,社会的養護を受ける子どもたちはその約9割が施設に入所し,約1割が家庭養護である里親に委託される,なぜ日本では里親委託が伸展しないのか.本稿では,この問題関心のもとに,戦後から現在までの里親制度に関する先行研究を概観し,その妥当性を検討する.里親委託の伸展を阻害するものと指摘される要因に関する仮説は,ほぼすべてが「里親登録者の不足」,もしくは「里親の養育対象となる子どもの限定化・少数化」を経由して里親委託が停滞することを指摘している.前者は,実証的なデータによって支持されるとは言いがたいが,後者に含まれるいくつかの下位仮説はデータから支持されていた.結局,児童福祉諸機関が里親に十分な支援や対応をとることが難しかったことが里親委託の停滞を生み出した最大の要因であると考えられた.
著者
笛木 俊一
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.32-44, 2018-07-20

Main issues indicated in this paper are as shown under ; (1) Infringement the rights of homeless persons. (2) Judicial remedies for the rights of homeless persons by the Public Assistance Law Cases. (3) Present Issue ; Deprivation of 'a place to live' and the way of practical actions to realize 'the housing rights' of homeless persons in the community.
著者
高良 麻子
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.126-140, 2018-07-20

変容している生活問題への対応が十分とは言えないなか,社会的に排除されている人々に対して地域を基盤とした総合的かつ包括的支援が展開されている.なかでも,制度の未整備などには法律・制度・サービスの改廃・創設を含む構造的変化を促す組織的活動であるソーシャル・アクションが必要だと言えるが,研究と実践ともに蓄積が乏しい状況である.そこで,本研究ではソーシャル・アクションの実践を体系的に把握することを目的とし,成果が確認された社会福祉士による42の実践事例を分析した.その結果,近年実践されているソーシャル・アクションは当事者の参加度が低く,かつ介入対象レベルが狭いことが明らかになった.実践プロセスは,制度などに関する課題に気づき,課題を把握し,課題理解促進や関係者の組織化を並行して行いながら,構造的変化を目的とする組織的活動を行っており,日頃からのネットワークや実践の蓄積などの基盤が不可欠だと考えられた.
著者
岡本 民夫 藤野 好美 平塚 良子 牧 洋子 戸塚 法子 久保 美紀 木原 活信 信川 美樹 日根野 健 空閑 浩人
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.150-171, 1999

Recently we find that the studies of skills in social work are on the increase. But we have not much knowledge about it which has important, essential impact in social wroker' s activities. To practice social work effectively, social worker needs generic / spesific knowledge and mastery of interventions and values. He or she selects useful knowledge and intervention, being guided values of clients and professional values. Then under the contract between a client / clients and social worker, he or she prorvides social services to people and improves their life situation, changes systems / environments of them, understanding causes and backgrounds of their life problems. But guided values and knowledge, slills of social worker function these whole processes of practicing. In this meaning, skill is a central part of social work pracice. We recognize that social work skill depends on social worker's abilities and aciviteis as a profession, also we need to develop a unique whole system of skills in our ptactice. In this paper, we disscuss and analyze, make it clearly from reviewing some research of the pioneers ; (1) what social wrok skill means, (2) what and how position and function of skills in social work practice are, (3) what role of skill is, in case of sescientific practice and creating scietific social wrok with an uniqeness, also (4) what and how relation of a speciality of social work uniqueness (the nature of social work) and skill is, etc.. There, we find several important points and tasks about research of them. There is deferential part in use of term and difintion of skill between pioneers. But the term and defintion of social work skill is very important. They symbolize whole social wrok idntity (uniqueness), especially professional identity, and scientific identity and originality, social meaning of itself. Additioning to say, there are somoe discreminations of concepts and construcions of skills of each pioneers, some are clear and elaborate, some are loose, unclear and limitted. Those indicate it's unmatured level of study. So we need more research of social work skill and must relate it to methodological perspectives under the uniqueness and originality of social work. Finally, We suggest more ideas of how to research skill. Especially we streess that we build up and refine feedback-loop procseess system of research of skill ; "Teaching knowledge, values, skills-Learning-Scientific Practice-Analyzing / verifying-Scientific Aproach of Doing / Practicing (Creating / Recreating and Constructing / Reconstructing new knowledge, values, skills)-Teaching...".
著者
久保田 純
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.86-98, 2017

<p>本研究では,支援を必要とする地域で暮らす母子家庭へのソーシャルワークにおける有用な実践モデルの生成を目的として,グレーザー派グラウンデッド・セオリー(Glaser 1978, 1998)の手法を用いて,実際に行われているソーシャルワーク実践の概念化を行った.この結果,【支援リゾームの形成】を母子家庭への支援においてソーシャルワーカーが行っており,背景として〔孤立する母子家庭〕,その要因として〔母親と支援システムの不調和〕,条件として〔同調と差異を軸とした母親との流動的な関係性の構築〕〔母親と子どもの対等な関係の構築〕〔差異を取り込んだ支援システムの構築〕,結果として〔母子家庭と関係機関による支援システムの自己組織化〕といった概念が抽出され,【支援リゾームの形成】を核としたこれらの概念が支援を必要とする地域で暮らす母子家庭へのソーシャルワークにおける有用な実践モデルとして生成された.</p>
著者
杉田 穏子
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.54-66, 2011-08-31 (Released:2018-07-20)

本論文は,障害の個人的経験をもディスアビリティに組み込もうとする社会モデルに立脚し,知的障害のある人の人生の語りを通して,ディスアビリティ経験(社会の側の態度や対応)が彼らの自己評価に与える影響について,共通するパターンを見いだし社会福祉実践への示唆を得ようとするものである。6人の女性の語りからは,学齢期のいじめや本人意思の無視,就労期のつらい仕事や失職といった社会の否定的な態度や対応が否定的な自己評価の積み重ねを招き,閉じこもりにも至るが,福祉サービス選択時に自己選択・決定できる機会の提供という社会の肯定的な態度や対応がなされると肯定的な自己評価に一転し,さらにひとり暮らし支援やアドボカシー役の提供でいっそう自己評価を高めるというパターンが見いだせた.これは,社会福祉実践面では,教育や福祉サービスの場の選択時,事前体験やていねいな聞き取りによる本人意思の関与が最重要であることを示唆している.
著者
田川 佳代子
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.1-12, 2018-07-20

社会正義の思想は,正義の諸概念や諸構想に依拠する.どのような正義の構想に依拠するかを曖昧にすることは,実現しようとする正義を玉虫色のものにする.ソーシャルワークが擁護すべき社会正義とは何か.ソーシャルワークにおいて実現しようとする正義は何であるか.社会正義の広範な理論の検討を踏まえ,議論の輪郭を描くことが課題である.本稿では,まず,広範囲に及ぶ社会正義の意昧について調べる.配分的正義の議論を乗り越え,現代のソーシャルワークに要請されている抑圧や文配を除去し,搾取や社会的不正義を克服するのにふさわしい,ソーシャルワークにおける社会正義の諸概念や諸構想を検討する.ポスト近代,ケアの倫理,反抑圧といった新たな社会理論からの異議申し立てを,ソーシャルワークはどう受け止めるのか.ソーシャルワークの理論的変遷を辿りつつ,考察を試みる.
著者
中村 秀郷
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.89-101, 2018

<p>本研究の目的は,更生保護施設職員が刑務所出所者等の社会復帰支援で直面する困難性(心理的ストレス)の構造・展開を明らかにし,その実態を体系的に整理することである.</p><p>更生保護施設職員19名を対象として,個別インタビューによる半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて逐語データの分析を行った.</p><p>分析結果から12個の困難性概念が生成し,概念間の関係性から,〈制度的・組織的限界へのストレス〉,〈対象者の言動へのストレス〉,〈支援の行き詰まりへのストレス〉の三つのカテゴリーに収斂された.</p><p>本研究では,概念間のつながり,カテゴリー間の流れから刑務所出所者等の社会内処遇の実践現場で直面すると考えられる困難性の予測に示唆を与えた.また,ジェネラリスト・ソーシャルワーク理論だけでは収まらないスペシフィックな刑務所出所者等の社会復帰支援の特徴を提示した.</p>