著者
塚口 眞佐子
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.159-173, 2013-01-31

1920-30年代の社会背景からモダンデザイン史を読み解くシリーズの7稿目である。今稿は英国のモダン住宅事情を取り上げる。30年代を迎える頃に、英国では最初のモダン住宅がようやく姿を見せ始める。大陸ヨーロッパとは周回遅れと言ってよいだろう。特に伝統的住宅に強く固執する国民性の中、どのような層が設計者として住まい手として計画に加わったのか。そこにはコスモポリタニズムという共通項が、極めて明白に浮かび上がる。さらに、集合住宅が労働者階級向けと概念されていた大陸と異なり、進歩的知識人の入居を想定して計画された集合住宅が、初期の頃から誕生する特異性がみられる。入居者もまたコスモポリタニズムへの親和性を見せる層であった。前稿で取り上げたナチスを逃れ英国に亡命した左派芸術家やユダヤ人建築家が移り住んだのも、これらの集合住宅であった。今稿では、ハイポイント、ウィロウロードの家、ローンロード・フラッツ、この3件の事例を紹介し、稿を改めて事例を追加し総括を行うこととする。

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