NTT未来ねっと研究所では、高品質な画質を要求される分野での映像コンテンツの流通を目的として超高精細(SHD: Super High Definition)映像の研究開発を進めてきた。その高い品質は、十分に実証されているものの、伝送コストおよび表示端末コストはまだ高く、多くのユーザが利用できる状況にはない。近年は、ネットワークの多様化に伴い、ユーザごとに伝送路の帯域変動が大きく、映像受信端末の解像度も多様化している。本稿では、このような条件の異なる複数のユーザが超高精細映像コンテンツを利用するための、レイヤード通信処理技術の研究について紹介する。特に、1)レイヤードLDGM符号、2)レイヤードマルチキャスト暗号、について述べる。また、レイヤード通信機能を利用した応用例として、多地点TV会議、映像・音響制作支援、震災時の映像配信について紹介する。