著者
仲地 孝之
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.288-301, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)
参考文献数
43
被引用文献数
1

MPEG Media Transport(MMT)は,ISO/IECのMoving Picture Experts Group(MPEG)が制定する次世代メディア伝送の国際標準規格である.高効率映像符号化のHEVC,マルチチャネルオーディオ符号化の3D Audioを含むISO/ICE23008のシステムパートとして位置付けられる.放送や通信など多様なネットワークでのメディア配信に適した方式であり,高信頼伝送のための機能もサポートしている.ISO/IEC 23008-1はメディアのカプセル化,配信プロトコル,制御情報を規定し,ISO/IEC 23008-10では高信頼伝送のための誤り訂正符号を規定する.現在は,実応用へ向けた取組みが加速している.本稿では,MMTの規格概要について解説するとともに,通信・放送分野への具体的な応用例として,① 4K・8K次世代ディジタル放送,② 超臨場感通信,③ 低遅延・マルチキャスト映像配信について紹介する.
著者
中田 亮太 仲地 孝之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.306, pp.15-20, 2012-11-14

本報告では、Shamirの秘密分散法を利用した秘密計算の提案を行う.Shamirの秘密分散法は秘匿にしたいデータを複数に分散・暗号化する暗号アルゴリズムで,復号を実行する為にはしきい値以上の分散暗号文を集める必要がある[2].このShamirの秘密分散法は暗号化の際に線形性を保つ為、分散暗号文のまま加減算を実行する事が可能であり,その計算結果は復号した平文に反映される.秘密分散法ではこの性質を利用してマルチパーティプロトコルを実現可能である事が知られている.本報告ではShamirの秘密分散法を利用して加減算が成り立ち、乗法が一度だけ可能な秘密計算の方法と,当アルゴリズムで運用可能なクラウドサーバ上での計算モデルを併せて提案する.
著者
仲地 孝之
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.34, pp.53-58, 2012-08-27

NTT未来ねっと研究所では、高品質な画質を要求される分野での映像コンテンツの流通を目的として超高精細(SHD: Super High Definition)映像の研究開発を進めてきた。その高い品質は、十分に実証されているものの、伝送コストおよび表示端末コストはまだ高く、多くのユーザが利用できる状況にはない。近年は、ネットワークの多様化に伴い、ユーザごとに伝送路の帯域変動が大きく、映像受信端末の解像度も多様化している。本稿では、このような条件の異なる複数のユーザが超高精細映像コンテンツを利用するための、レイヤード通信処理技術の研究について紹介する。特に、1)レイヤードLDGM符号、2)レイヤードマルチキャスト暗号、について述べる。また、レイヤード通信機能を利用した応用例として、多地点TV会議、映像・音響制作支援、震災時の映像配信について紹介する。