著者
黄 當時
出版者
佛教大学
雑誌
文学部論集 = Journal of the Faculty of Letters (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
no.97, pp.1-20, 2013-03

沖縄に、「さばに」という名の船があり、『日本国語大辞典』は、名称の由来を説明しないが、「さばに」は、「舟/船+α」の構造と意味をもつ名称のように思われる。 豊玉姫の説話の中に、屋根をまだ葺き終えないうちに産気付いた姫が産屋に入り出産する場面があるが、『記』『紀』は、火遠理命が姫の頼みに背いてその様子を覗いたところ姫は「和邇」や「龍」の姿に変わっていた、と記述している。 「和邇」と「龍」は、いずれも同じ情報を伝えているが、適切な海の民の視点を欠いたままでは、正確に理解できない。言葉は、文化である。異文化の言葉は、異文化の知識で解くべきである。 「和邇」と「龍」は、「大型のカヌー」である。「wa`a-nui(和邇)」は、ワァヌイもしくはヴァヌイに発音されるが、Hawai`iがハワイではなくハヴァイに発音されるように、沙+ wa`a-nuiは、サヴァヌイのように発音され、やがてサバヌイ、サバニとなったのではないか。 古代の日本語の問題を考えたり、古典を読み解くのに、ポリネシア語の知識や、船舶・航海の知識が役に立つという認識は、やがて常識となるのではないか。

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